ガゼルヤンデレ(を目指した)



美しい。
私の眼前で血を流しながらうずくまる彼は、美しい。
燃えるような髪と同様にその深紅の血液が彼の白い頬を流れ落ち、やがて無機質な白い床へ水溜まりとなるのだ。なんと素晴らしい光景か!
私が今さっき床へ彼の頭を思い切り打ち付けたものだから額が切れてしまったらしい、血が入ってしまわぬよう左目を閉じてしまっている。勿体無い。私にどんなに殴られようとも蹴られようとも、その黄金の瞳は輝きを失おうとせずに爛々と光り続けるのだ。

ああ、美しい。美しいよ。

「バーンは優しいからな。あんなクズ共の相手までしてあげるなんて。でも駄目だと言っただろう?私以外とは必要以上に話すなと。ましてやグランや君の幼なじみなんてもってのほかだ。バーンは優しすぎるんだよ…だから君は可愛いのだけれど」

「…ガっ…げほッ…」

「私にはお前しか要らない。…お前しかいない。バーンさえいてくれれば何もいらないんだよ…」

君の体内を駆け巡るヘモグロビンだとかの集まりが集まって、ルビーのように輝く血液を見るのは私だけ。私だけでいい。
おもむろに細く小さな身体を抱きしめる。愛おしい。

「…ぐゥ…あ、……風介も、優しい」

「…………」

オレのために泣いてくれてる。

そう言ってまた優しく、哀しげに寂しげに微笑んだ彼の白く美しい喉元に爪をたてた。












お題 酸素

うーん…


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