同棲



朝から晩まで仕事でくたくたになって、それでも必ずオレと一緒に飯を食べるために帰ってくる。オレは帰ってくる風介のために飯を作ったりだとか掃除をしたりだとか、そんな小さなことでしか風介を助けてあげられない。本当はもっとずっと前から思ってた、オレってすごく風介の重荷になってる。

「どうしてそんなこと言うの」

ぎゅう、と風介が後ろから抱きついてきたのが分かる。野菜を切る手を止めた。
風介は、優しい。
どんなに疲れていたってオレを一番に想ってくれるし尽くしてくれる。オレだって風介のために何でもしてあげたいのに。オレだって風介を守ってあげたいのに、なんだか一方的に守られている気がする。

「そんなことない。晴矢は私のために毎日料理もしてくれるし掃除もしてくれるし、毎日笑ってくれるじゃない」

「…でも…そんなこと…」

「大好きな人にそこまでしてもらうって、どれだけ幸せなことだと思う?」

だからね、晴矢。
泣かないで。

そう困ったように言われて、オレ泣いてんの、格好悪い。風介、今困った顔してるんだろうなあ。って。

「な、泣いてねえ!玉ねぎ切ってっから涙出てきたんだよ、玉ねぎの威力をなめるなよ!」

思いきり抱きついてやった。風介は驚いた顔をしている。やっぱ、好きだなあ。

「…オレ、風介の笑った顔、すき。…困った顔とか驚いた顔とか、眠そうな顔も捨てがたいけど…風介の笑った顔が一番だいすき」

恥ずかしかったけど、風介はいつもこんなことをオレに言ってくれるから。風介に言われるとオレはすごく幸せだから、風介も幸せな気持ちになれるかな。

「…っ…君は私をどうしたいんだ……」

「もっと…オレに夢中にしてやりたいよ」

力を込めてしがみつくと、風介は柔らかく笑って、しっかりと抱きしめ返してくる。心臓からあったかくなってくる感じ。ああ、幸せ。









お題 酸素

ガゼバンの日でした!


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