学校が終わり佐久間と南雲で放課後、街へ繰り出した。街はバレンタインデー一色だ。チョコレートを作る材料調達しにやって来たが、佐久間だけが浮かなそうな顔をしている。理由は簡単、料理が苦手らしいから。
「絶対作れない…」
「何でやる前から弱気になってんだよ!」
「そうだぞ佐久間、何事も挑戦からだ」
「源田みたいなこと言うなー!てか、2人は料理上手だからいいんだよ…」
うなだれる佐久間に南雲と2人で苦笑を漏らす。(主に源田に)甘やかされてきたからか佐久間は家庭科の成績は大変よろしくない。アイロンをかけるのも精一杯だったからなあ…。マフラーに顔をうずめてうーうー言ってる佐久間はすごく可愛いけど。
「じゃあ佐久間、私と一緒に作ろ」
「ほんとっ!?」
ばっと勢いよく顔を上げた佐久間。すぐに機嫌は直ったようだ。
「南雲は?」
「んー、オレは家で玲名たちと作るからなぁ」
「そっか、その…例の中学生の女の子も一緒に?」
「うん、誘おうと思ってる」
昨夜いきなり南雲たちの住む家に中学生の女の子の同居が決まったらしい。詳しいことは分からないけど、とりあえず南雲は新しい家族が出来たと笑っていた。
「何作ろうかなぁ、ケーキ?」
「ちょっと難しいけどフォンダンショコラにしてみようか」
「ひゃー、すげーな風丸」
「豪炎寺のためだもんなぁ〜」
「あ、そうかぁ」
「か、からかうなっ」
茶化してくる2人に慌てて反論しながら、街のど真ん中だというのに3人で騒いでいた。…豪炎寺、喜んでくれるかな。甘いのは苦手みたいだから、甘さは少し控えめにしよう。