ヒロトと玲名が帰ってきた。見慣れない中学生くらいの女の子…いや、男の子?を連れて。

「紹介するね、この子は狩屋マサキ」

狩屋マサキ。控えめににこりと笑う顔は可愛らしくて女の子のようだ。でも名前と深く被った帽子と上下ジャージという格好でいまいち分からない。

「瞳子さんに言われて、ここで二週間お世話になることになりました。狩屋です」

よろしくお願いします、と頭を下げたマサキに晴矢と茂人、リュウがよろしく、と応える。未だにどういう経緯でこの子がここに来ることになったのかを聞いていないが基本この3人は来る者拒まずなので仕方がない。風介は無表情だ。いつものことだが。

「マサキ、ご飯の前にお風呂に入っておいで。リュウ、マサキをお風呂に連れて行ってあげて」

「うん、分かった!」

マサキはありがとうございます、と言ってリュウについて行った。

「ヒロト、あの子は?」

ようやく本題に入れそうだ。




ヒロトと玲名によるとマサキは我々がお日さま園を出たのと入れ替わりで入園したらしい。しかしなかなか大人に心を開かず瞳子さんは割と歳が近くて信頼も置けている我々と暫くマサキを共に暮らすようにと頼んだらしい。ちなみにマサキは女の子だった。女の子には少し珍しいであろう名前だが、そのことも心を開かない理由の一つでもあると思うので、彼女から話してくれるのを待つしかないだろう。

「馴れない環境にいきなり連れて来られたのもあるし余計に当分は気を許してくれないと思う。だからよく気にかけてあげてね」

「オレたちだから、よく知ってるさ」

ヒロトに茂人がそう応える。同じ孤児の私たちだ、そういう子にどう接すれば心を開いてくれるのか。私たちなら分かるはずだ。

「まぁ、そういうことだな」

「じゃあ飯にすっか!マサキの分も用意してやらないとな」

玲名と晴矢が立ち上がる。茂人も何か手伝おうか、と席を立つ。

「あ、ちゃんと乾かさないと!ドライヤー貸して!」

リュウの声も聞こえる。二週間の間だが、この家に新たな住人が増えたのだった。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -