どんっ、という衝撃があって視界に見えたのはさらさらした綺麗な金髪。
「うわっごめんな大丈夫か!?」
ぶつかった拍子に落としてしまったらしい、何冊かの冊子を慌てて拾ってやって改めて見ると、見覚えのない美少女だった。しかもセーラー服。この学校はブレザーだから、他校生か?
「ううん、僕こそ余所見してたから」
そう言ってじっとこっちを見てくる。うっ、眩しい。ほんと可愛いなこの子。モデルみたい。
「ええと…見ない顔だけど、転校生かなんかか?」
「そうなんだ。韓国から来ました、亜風炉照美です」
「韓国!?」
にこにこしてる顔が相変わらず眩しいが、韓国の方だったとは。だって普通に日本語ペラペラだし。
「オレは南雲晴矢。よろしくな」
「晴矢ちゃん…?」
「うお、よ、呼び捨てでいーって!」
呼ばれ慣れてないからなんだかむずがゆい。亜風炉は「じゃあ僕も、照美でいいよ」と言った。髪の毛もサラサラだし可愛いっていうより綺麗系。美人さんだなぁ。オレと違って全然女の子らしいし。風介も照美を見たら惚れちゃうかな。…っておかしいだろ!なんで風介が出てくんだっての!
「何をしてるんだ晴矢」
「うわっ!?」
いきなり風介が現れた。こいついつもこういうタイミングいいんだよな。風介はじっと照美を見てる。…何思ってんだよ。
「…誰だ?」
「韓国からの転校生の亜風炉照美。照美、こいつは涼野風介だ」
「よろしく涼野くん」
風介は何も言わずに照美を見つめている。…ていうか、睨んでる?おいおい初対面の女の子にそれはないだろ。
「そろそろ僕行かなきゃ」
「あっそうだな!ごめんな時間とらせちまって…」
「ううん、お話してくれてありがとう。」
そう言った照美の綺麗な顔が近付いてきて、え、え?
ちゅ。
キスされた。…言っとくけど頬に。
いや違う違うオレ女なんですけど!となりの風介に至ってはなんかもう物凄い顔してるけど!
「てっててて照美…!?」
「ふふ、晴矢可愛いからつい」
背を向ける照美を呆然と眺めていたら、突然振り返って綺麗に微笑んで、言った。
「あ、僕実は男の子なんだよね。というわけで男の子として晴矢のお友達になりたいな」
………………え……
うん、お友達になるのは全然いい。全然いいよ?え、男?男の子?
いっきにキスされた頬が熱くなった気がして、顔が赤くなったのが分かる。となりで風介が照美に向かってぎゃんぎゃん騒いでいるのが遠くに聞こえていた。