「ぼくはれいなとけっこんするんだ!」

思えば、ずっとずっと昔から、ヒロトのことが好きだった。お日さま園に入った頃から遊んでくれたり話してくれたり、他の子にいじめられたりして守ってくれた。ヒロトは私の王子様みたいだった。
だから、ヒロトがこのとき言ったことが幼いながらにとてもショックを受けて、その夜ずっと泣いてたっけ。


「(懐かしい……)」

それからもう高校生にまでなったけど、未だに私はヒロトのことが性懲りもなく好きだ。でも伝えたことは一度もない。伝えられない、こんなこと。
ヒロトはきっと玲名姉のことが好き。
それこそ、ずっと昔から。

玲名姉は性格も厳しいし、冷たいと思われるイメージだけど何でも相談にのってくれるし実は優しい。玲名姉のことは私も大好きだし、ヒロトのことを一番よく分かってるのは多分玲名姉。私よりずっと前からヒロトと一緒にいたらしい。ヒロトに私なんかが釣り合うとは思わないし玲名姉だったらヒロトの全部を分かっているんだろうから。

このままでいいんだ。



「緑川さん!」

「わぁっ!?」

気がつけば目の前には同じクラスの立向居くんがいた。うわ、全く気がつかなかった。

「ご、ごめんぼーっとしちゃって…」

「あはは。緑川さんらしいよ」

「…あ、あのさ立向居くん」

「なに?」

「えっと、た、立向居くんって年上の彼女さんがいるんだよね?3年生の…」

一気に立向居くんの顔が赤くなった。
立向居くんの彼女さんの話は結構有名だ。確か砂木沼さんとクラスが同じだった気がする。遠くからしか見たことないけど。

「いいなあ、立向居くん…立向居くんも彼女さんもお互いに大好きだから付き合えたんだよね…」

「…どうしたの」

ヒロトと付き合いたいとか、そんな贅沢なことは言わないけど。…そりゃあそんなことになったら嬉しすぎて心臓破裂しそうなんだけど。
両思いの子たちが羨ましい。「好き」っていう気持ちが相手に伝わって、それを受け入れてもらえて。晴矢姉や風介兄みたいにお互い好きあってるのになかなかくっつかない人たちもいるみたいだけど。立向居くんなんて年も違うのに。

「…彼女さんが年上だったり、年齢差とか、気にならない?」

「うーん…まぁ、守ってあげたいのに守られてるって感覚があるときもあるけど…でもやっぱり」

好きだから不安になるんだ。
立向居くんは照れくさそうな表情で言った。私がヒロトを好きなことには変わりないし、ヒロトが玲名姉のことを好きなのも、私がどうこうする資格もない。
私がヒロトを好きなこの気持ちを、大切にしていればいいんだよね!




「立向居ー!」

「綱海さん!」

(もちろん不安なんてたくさんあるけど、好きな気持ちは自分が大事に守っていれば大丈夫なんですよ!)




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