大統領殺人事件2

結局一睡もできないままスコールは大学に向かった。今は春休みに入っていて授業自体はない。だがクラウドを探して何となく来てしまった。
もしかしたら、と期待を込めて準備室のノブを押すとドアが開いた。
「っクラウド…っ」
思わず乱暴に開けて中に入る。だがそこにいたのは探していた恋人ではなかった。
「ごめんね、今日はクラウド先生じゃなくて…ってあれ?スコール?」
「クラウドはっ」
クラウドの定位置にいたのはセシルだった。パソコンに向かっている姿はただ遊びにきているようには見えない。
「あれ?一緒じゃないの?」
「ああ、何であんたがここにいるんだ」
「急な用事ができたからって留守番を頼まれて」
「いつっ、いつ頼まれたんだ?」
「昨夜の…10時頃だったかな?」
セシルは首を傾げた。一緒に住んでいてスコールか何も知らないのはおかしい。
「ねえ…何かあった?」
「なぜ?」
「何だかクラウドとても急いでるみたいだったし、それに君も知らないなんて」
「少し行き違いがあっただけだ。邪魔して悪かった」
これ以上の詮索を避けてスコールは準備室を後にした。セシルに仕事を頼む余裕があるのならなぜこちらに連絡してこない。被害者の身内以前に恋人だ。何があってもクラウドの味方でいられる自信はあるのに、クラウドは信用していないのだろうか。
次なるクラウドの居場所を求めて大学院の研究室に向かう。こちらにいないのは分かっているが念のためだ。もしかしたらウォーリアもクラウドと接触しているかもしれない。
向こう側に気配を感じながらドアをノックする。出てきたのは案の定ウォーリアだった。
「クラウドは来ているか?」
「いや、今日は来ていないようだが…」
「そうか、邪魔をした」
用件のみで会話を打ち切ろうとしたがウォーリアがスコールの腕を掴んで止めた。急いでいると振り払いたかったが咎めるように見下ろされて思わずたじろいだ。
「な、何だ」
「ちょっと待て」
スコールが大人しく待っているのを確認したウォーリアは部屋の奥のロッカーを開けた。そしてふむ、と頷いた。
「クラウドの着替えがない」
「何?」
「いつからなくなっていたかは分からないが…つい先日まではあったと思う」
「恩に着る」
「スコール」
もうここに用はないと研究室を出ようとしたスコールをウォーリアが呼ぶ。何か言いたげな瞳は以前も見たことがあった。
「君が話さなければ我々に聞く権利はないが、いつでも力になろう」
「!ああ…その時は頼む」
そして研究室を出たスコールは途方に暮れた。
クラウドの行く先なんて準備室と院の研究室と…あの教授のところくらいだ。セフィロスの下に駆け込めば逃げおおせられるかもしれない。だが研究室から着替えを持っていったということはセフィロスを頼る気はないのだろう。
事件が公になる前に、警察が動く前に何とかしてクラウドを確保しないと。そうは思っても他に心当たりはなかった。




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