裸エプロンは男のロマン

皆が集まって盛大に行われたクラウドの誕生日パーティーとは違い、スコールの誕生日はあっさりしたものだった。クラウドはささやかながらケーキとプレゼントを用意していた。だがパーティーをしようと言い出す者がおらず、バッツとティーダがプレゼントを持ってきただけだった。
わざわざ家まで来たのに玄関先で帰すわけにもいかない。スコールは渋々とだが二人を中へと促した。だが珍しく固辞した二人はプレゼントだけ渡すとさっさと帰ってしまった。
「あれ?バッツとティーダは?」
「帰った」
「気を使ったのか」
クラウドの誕生日には不機嫌を隠しきれていなかったのを見ていたのだろう。馬に蹴られる前に退散すると帰ってしまった二人にありがたいと思ってしまう。
「何貰ったんだ?」
軽く小さな箱にクラウドは興味津々だ。人に贈り物をすることなんてなかったから他の人がどんな贈り物をするのか気になっているようだ。包装を解くと箱の中から真っ白な靴下が出てきた。
「…」
何とコメントしたらいいのだろう。たまに二人が何を考えているのか分からない。
「これ、絹だ」
箱から靴下を取り出したクラウドが首を傾げる。絹の靴下を履くのかと聞かれたが履いたことはない。
意図が分からず、だが聞くのも憚られて二人で悩んでいるとバッツからメールが届いた。
『プレゼント開けてみたか?エプロンと一緒に使うと効果倍増だぜ☆』
スコールはあまりマニアックな趣味は持ち合わせていない。クラウドの魅力に惑わされっぱなしでマンネリに陥ったこともない。たまに眼鏡を掛けさせてクラウド先生を堪能する程度で特殊なプレイはしたことがなかった。
「…」
だがせっかくの厚意を無駄にするのも申し訳ない。スコールだって健全な男子として恋人の魅力を引き立てるアイテムがあるなら使ってみたいと思う。
使ってみるか?と聞くとどんな用途で使うのか想像もできないのだろう、クラウドは首を傾げるばかりだった。
「使う?オレが?」
「ああ、あんたが使うのを想定して寄越したようだ」
「どうやって?」
「普通に履くんだが」
スコールへのプレゼントをどうしてクラウドが履くのだろうか。理解できずに更に首を傾げるクラウドは擦れてなくて可愛いと思う。実際に使ってみれば分かるとクラウドを座らせて足を取った。
「あ…」
スコールの纏う雰囲気で何をされるのか悟ったのだろう。クラウドがごくりと喉を鳴らす。スコールは足の甲に口付けた。
「ひゃ、ん…んんっ…スコー…」
ゆっくりと唇をずらし指を口に含む。指の間をねっとりと舐めるとクラウドの体がびくびくと揺れた。
「スコール?」
「何だ」
「これ、と靴下とどういう関係があるんだ?」
「ああ、エプロンも忘れていたな」
「っ!」
取りに行ってくるとクラウドから離れると咄嗟に腕を掴まれた。心なしか顔が引きつっているように見えるが気のせいだろう。エプロンを貰った夜を思い出す。あれはなかなか良かった。
「あんたも楽しんだだろう?」
「っ、あれは…」
「靴下も同じ類のものだ」
「え…」
クラウドが怯んで手を離した隙に取りに立つ。戻ってくると複雑な表情をしていた。
「嫌だったか?」
「嫌じゃない、けど…恥ずかしい」
「可愛かった。だがあんたが恥ずかしいなら止める」
そう言えばクラウドはこれ以上抵抗はしない。案の定スコールがしたいなら、とエプロンを受け取る。無理しなくていいと言いつつもスコールはエプロンの紐を結んでやった。




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