Which do you like?

実行委員会に割り当てられた部屋…のその隣の小さな準備室のような部屋で、ビラビラっと机の上に布を広げて、バッツは満足げに頷いた。
「なぁ…」
「んぁー?」
「本当にやるのか?」
「当たり前だろ?こんなチャンスみすみす逃すことはない!」
鼻息荒く張り切るバッツに、居た堪れない気持ちになったのはフリオニール。
フリオニールの目の前に広がる様々な色の布。
艶やかだったり、鮮やかだったり、フワッとしていたりと、色も感触も違う布がこれまた様々な形となって置かれている。
「つーか、このこと誰にも言ってないだろうな?」
「あ…あぁ」
言っていないはず。
フリオニールは己の行動や言動を振り返ったが、誰かに話した記憶はなかった。
というより話せない。
しかし、
「あ!」
「どした?」
「クラウドに…」
その名が出た途端バッツがまくし立てた。
「まさかクラウドに言っちまったのかよ?おいおいそりゃないぜ!誰はともかくクラウドに言うとかダメだろ」
「あ、いや、言ってない!言ってないけど、…先に謝っておいた」
フリオニールの告白を聞いたバッツは動かしていた手を止めた。
「…クラウド何か感づいたかな…」
フリオニールが見るからにしょんぼりとしてしまったから、バッツは言ってないなら大丈夫だろとフリオニールの肩を叩いた。
「クラウドさ、あぁ見えて意外と鈍かったりするからさ、言わなきゃわかんねぇよきっと」
バッツも内心はばれていたらどうしようかと思ったけれど、内容が内容なだけにばれればすぐに連絡なり怒鳴り込みなりがあるだろうと思い至った。
「だから気にすんなよ」
「あぁ…これからは気をつけるよ」
フリオニールは少し元気を取り戻したようだった。
「あ、んなことよりぃ、フリオニールだったらどっちが好み?」
「なんの話だ?」
「赤か青。俺的には紫も捨て難いんだよな」
そう言いながらバッツが手にしたものを見た瞬間フリオニールの顔が真っ赤になった。
「…っ!」
「っ!じゃねぇよ、今更」
最初こそ笑いながらフリオニールをからかっていたが、学園祭まで日もない今となってはそれは呆れに変わっていた。
「だって…」
「クラウドには何枚か用意しとくか。あいつ絶対1枚じゃ足りないだろうし」
バッツは紫にピンク、そして赤をチョイスした。
「あいつ白いから濃いのもいいと思うんだよ」
そう言われてフリオニールの脳内で再現され、フリオニールは顔の一部が熱くなるのを感じた。
「っつうかスコールにこそばれたら俺ら殺されるかもな…」
「…」
悲しいかな、否定できない。
フリオニールは顔の熱が冷めていくのを感じた。
「スコールは青のこれに決定!」
「……そういえばこれどこから持ってきたんだ?」
布を見たフリオニールがふとした疑問をバッツにぶつければ、あっさりと
「ジタンの知り合い関係から借りた」
と返ってきた。
舞台の衣装も借りたしさ、と付け足して。
フリオニールは楽しみなような怖いような、クラウドに会いたいような会いたくないような、不思議な感覚に戸惑った。
「よし、じゃ最終確認してくっかー!」
バッツはどこまでも楽しそうだった。










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