力を合わせて頑張るゾ

もうあと数日で学園祭だ。
学生たちはあちこちを駆け回り、そして様々な準備をしていく。
その模様をクラウドは準備室の窓から見ていた。
「みんな大変だな…」
「ものすごく他人事な言い方に聞こえる」
イスに座り本を読んでいたスコールは苦笑いした。
「他人事というか…、俺学祭に関わってなかったから」
「…?関わってないっていっても参加はしてただろ?」
「してない」
クラウドは首を振る。
「4年以上も大学にいるのに?俺はともかく…、クラウドは3年も早くここにいたのに?」
「そう思うだろ?でも俺は参加してない。俺、本当は学祭が何のかよくわかってない」
次に苦笑いをこぼしたのはクラウドだった。
現役学生時代、スコールと知り合ってからはスコールと遊んでいた。知り合うその前は、セフィロスと行動をともにしていた。
バッツに誘われたこともあった気がしたが、不特定多数の人間が集まる場所にはスコールは行きたがらなかったし、クラウド自身もできれば避けたかった。
それゆえに二人は学園祭に参加していない。
「まぁ俺は学園祭なんてものに興味はないし、あんたといれるんだったらそっちの方が…」
スコールが言いながら立ち上がり、クラウドの傍によろうとした矢先、準備室のドアが勢いよく開いた。
「だぁぁー!ちょっと休憩!あー疲れるぅー」
バッツだ。
来るなり早々イスに座り、だらっと四肢を投げ出している。
「バッツ…」
「ぉあ?スコールもいたのか…ってかお前らまさかなんかやらしいことでもおっぱじめるつもりじゃねぇよな?」
スコールの手がクラウドの肩にかかる寸前で空中で止まったままだ。
スコールはあからさまな不機嫌オーラを放ったが、バッツには効かなかった。
「何も始めないが…どうかしたのか?疲れていそうだが、大丈夫か?」
クラウドの言葉にほんの少しだけスコールはシュンとなり、バッツはよくぞ聞いてくれました!と投げ出していた四肢を動かし立ち上がった。
「聞いてくれよ!今年の実行委員が頼りなくてさぁ!ほっとけなくてしゃしゃり出たらあれもこれもやることが多すぎて、さすがのバッツ様でもくたびれるって」
オーバーアクションを用いながらバッツは忙しさをアピールするが、二人からすれば、へーの一言で終わってしまう。
「あんた四年生なのになんで実行委員なんかしてるんだ?」
スコールの言葉にバッツはチッチッチッと指を振った。
「学園祭だぞ?お祭りだぞ?騒げるんだぞ?楽しい企画作って面白く過ごしたいだろ?」
「…」
「俺は祭の為ならこの身をなげうってでもやるぜ!」
メラメラメラ…
バッツの瞳に炎が見えた気がした。
「でも実行委員までしなくていいんじゃないのか?」
「甘い!甘すぎるよクラウドさん!やるからには徹底的に!これ基本!」
「でもお前ら舞台もあるだろ」
二人は降板したが、バッツはメインなはずだ。
セリフ覚えだけでも大変なはずなのに。
「スコールそれはまた別だって。それに実行委員に知り合いがいるから助けてやりたくて。聞いたらお前らも助けてやりたくなるぜ?」
クラウドとスコールは顔を見合わせた。
「知り合いって」
「誰なんだ?」
「フリオニールだ」
あの心優しい青年が…
「現場監督が皇帝なんだ」
狙われる!
クラウド同様辛辣なセクハラを受けるフリオニール。
学園祭というハメを外しやすい場で悲惨な出来事が起こるかもしれない。
「……何かやれることがあれば手伝うよ」
「……フリオニールにもそう言ってくれ」
友達を見
捨てるわけにはいかない。
「そうこなくっちゃ!ってことで二人にはある企画に参加してもらうからな。あ、受付はしとくし、ちゃんと日時が決まったらメールするな!あ、やっべ…俺そろそろ行くわ」
じゃあなと風のようにその場をあとにしたバッツ。
「……」
「…企画ってなんだ?」
「………初参加、だな」
二人は窓から慌ただしく準備する学生たちを見下ろした。




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