朝、ベッドで

朝目を覚ますと腕の中にクラウドがいる。眠っている時もあれば起きてる時もある。こちらを起こさないように気を使っているのだろう。大人しくただこちらを見上げているだけだ。そして目が合うと嬉しそうに笑う。
「おはよ」
「おはよう」
そしてキスをするのが日課になった。
だが最近はどうだ。
スコールが目を覚ますと朝の挨拶もそこそこに腕からするりと抜けていく。無理矢理抱き締めキスでもしようものならぐいぐいと顎を押されて避けられてしまう。
最初は何かしてしまったのかと思った。神経質そうに見えるクラウドは意外と大雑把なところがある。だが変なところで繊細で、些細なことが地雷になることもある。それを言わずにうじうじしていることもあるから聞いてみたが何も言わない。だが視線は合わせないしどこかよそよそしい。
この変わりようにスコールは唖然とした。そしてひとつの嫌な考えが頭を過る。
倦怠期。もしかして飽きられてしまったのかもしれない。
せっかく同棲にまで持ち込んだのに、これではこれからの計画が丸潰れだ。

「何だよその計画って」
「俺の卒業と同時に国外に飛ぶ。セフィロスの力の及ばない世界に」
そんなのねーよ、と思いながらもバッツは黙って話を聞いていた。せっかくのスコールからの相談だ。あの慇懃無礼なスコールが悩んで困って他に頼れるものがなくてわざわざこうして相談にきているのだ。楽しまないと損だ。
「あー…それな、多分」
少し勿体ぶって言葉を濁す。そうだとは全く思っていない。多分クラウドは気にしないタイプだ。
「いびきとか歯軋りとか煩いんじゃないか?」
だからお前より早く起きているのだと指摘すればスコールはショックで固まった。
「いびきの治療は耳鼻科で歯軋りは歯科だぞ」
無言のまま立ち上がりフラフラと廊下に向かうスコールの背中に声をかける。そこまで教えてやるなんて俺って優しい先輩だぜ、と自画自賛しつつバッツは準備室へと向かった。
準備室が近くなるにつれ何だか嫌な予感がしてきた。廊下にいる学生達の様子がおかしい。女子はやたらテンションが高くきゃーきゃー騒いでいるし、野郎共はなぜか前屈みになっている。原因は…考えたくない。だんだんと足取りも重くなった。




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