ほんの些細な出来心。男なら、愛する人を抱きたいと思うのは当然の節理ってやつだろ。お疲れモードでベッドにごろんするダーリンが余りにも無防備過ぎるから、少しばかり悪戯をしてみたくなっただけで。
 寝るならちゃんと着替えれば良いものの、(俺がこんな心配するなんて)仮眠のつもりなのかベルナルドはその躯を丸めて寝息も立てずただ目を閉じていた。俺もベッドにお邪魔してその後ろから覆い被さるように抱き締めればすぐに、ジャン、なんて何時も俺を甘やかす声音を漏らして振り返ってきた。怪訝そうに顔色を窺う姿が少し可愛い、だなんて思っても言ってやらない。

「…いや、お疲れのダーリンにマッサージでもしてあげようかなと思って」

 既に期待して勃たせている俺が言う台詞じゃあないな、なんて。硬くしているペニスを腰骨の辺りに押し付ければ、困ったように笑って大人しくしているベルナルド。余裕なのか、それとも俺の戯れに付き合ってくれるつもりなのか。どちらにしても許したからにはそう簡単に離してやらないぜ、ダーリン。
 躯を密着させて耳朶に舌を這わせれば、鼻から抜けた声が小さく漏れる。それを皮切りに、ボタンを手早く外してシャツの中へ手を滑り込ませる。何時もより僅かに高く感ぜられる体温に、嗚呼本当に眠いんだなと思った。不意にきゅっと乳首を摘めば、びくんと肩を揺らして。

「あっ…」
「エロい声。あんたをこうやって鳴かせたいと思ってた」
「…俺としては、ハニーが鳴いてくれる方が嬉しいけどね」

 そう言いながらも彼の躯は僅かに震えている。あんたも期待して勃たせてる癖に。下肢へ手を伸ばしていけば、びくびくと跳ねる躯に思わず鼻で笑ってしまった。ぎゅっと頭を擡げ始めたペニスを握り込むと先よりも甲高い声が漏れた。案外マゾヒストだったりして。

「…なあ、抱かせろよ、ベルナルド。お返事は?」

 歌うように耳朶を甘噛みして囁けば、もう後は陥落しかない。




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