どうして俺の手を縛っているんだいマイスイート、ハニー、ジャン。分かってるよお前も酔っているんだろう。だからこんな意地悪をするんだな。目の前に居るのに触れられないなんてとんだ拷問だよ。今すぐにその滑らかな肌に口付けを落としたいのに、どうして駄目なんだい。
 ライトの陰影で髪が暗く染まる。狐のように細められた瞳が、これからの行為を物語っている。どうしたいかなんてお見通しだよ、と言えるくらいには彼のことが好きだ。ジャンのことはそれこそ何年も見てきたからね。次はボタンを引きちぎるんだろう?

「ヤられっぱなしじゃ男がすたるってな。動くなよダーリン?」

 思った通りぶちぶちとボタンが弾け飛ぶ。余裕があるように振る舞う所も可愛いよ。でももっと切羽詰まった顔が見たいな。イく直前みたいに、口をはしたなく開いて目を固く閉じた、そうあの顔がいい。あぁ、想像しただけで、

「もうこんなにしやがって。この変態」

 スラックスのファスナーを落とされると、テントを張ったモノが彼の正面に躍り出る。息を吹きかけられると途端に堆積を増す息子は、ニヤけた形に引き攣ることしか出来ない表情筋よりも遥かに正直だ。
 ふしだらな子だねジャン、可愛い可愛いお前の口を穢すなんて、そんなに背徳的な刺激はもっとじっくり堪能したいよ。出来れば頭を一発殴るなりして意識をクリアにしてから、もっと言うなら記憶のフィルムを回す用意が整うまで待ってからにしてほしいな。
 そういえばシャワーすら浴びていない。お前のを舐めるなら大歓迎だし、それは何よりのご褒美なのに、そっちじゃイけないのかい?

「なーに興奮してんだよ。舐めてなんかやんねぇよ?」

 良かった、もちろんだよ。今されたら俺は、後々過去の自分を恨み続けることになっちまう。二度とない体験をどうしてもっとちゃんと覚えていないのか、どうして今日こんなに飲んでしまったのか責め続けることになっちまう。けど、お前がくれた痛みだと思えばそれも良いのかもしれないな。
 にしても、強気なお前も堪らないよ。きっと待ちきれずにオネダリしてくるんだろう?きっと素直になんか言わないだろうね、出来るだけ遠まわしに言いながら、俺がこの縄をとってくれと懇願するのを待つんだろう?今からその姿が目に浮かぶよ、待ちきれないな。早く見せておくれ。

「大人しく見てろよ?顔にかけてやるから、さ」



 あぁ、好かれていると信じているお前が、可愛くて仕方ないよジャンカルロ。




111015

雨だれのルンさんより頂きました!
優位なつもりのジャンさんと世界すぎるベルナルドに思わず頂いた時動悸がし過ぎて自分を落ち着かせてから二度見三度見してしまいました…!私はこんなベルジャンを待っていたんです、ルンさんのベルナルドすき、です…!
どうもどうもありがとうございましたー!

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