!ベルジャン前提ラグトリフ×ベルナルド





 どうしてこうなったのかと問われれば、間違いなく拒まなかった自分に非があるのだろう。悪者と決め付けられるのは心地が好い。無理な振る舞いをする必要がないからだ。(何にしろ無理などするつもりは毛頭ないが)彼が惚気るなら構わない。依存するならそれでも良い。ただ、此処まで来てしまったのなら後戻りは出来ないと、彼がそれだけ自覚していれば。
 縋り付くように言語を発する事も出来ず、性急に前を寛げて下腹部に顔を埋めてくる彼には流石に少し驚かされたが、制止しようと動かした腕をそのまま下ろして、ただその様を傍観する。恋人と何かあったのだろうか、抱いて欲しい願望があるのだろうか、それとも何かの精神的外傷が呼び起こされたのだろうか、次々に浮かぶ羅列が音になる事はない。その何にしても今、眼下に見下ろすベルナルドが自分の知っている彼ではない事は確かだった。

「は…っん、ん…」

 機能を果たさないそれは決して反応する事もない。それでもひたすらに舐めしゃぶろうとする彼は限りなく自慰的だ。それも分かった上で愚行に走る彼は傍観者を楽しませる道化なのかもしれない。終いには自分のスラックスを落として指で後ろを解そうとするのだから、救いがない。分かっているのに。貴方は本当に学ばない人だ。
 惜しげもなく漏れる喘ぎを遠くに聞きながら、そろそろ何か言葉を掛けるべきかと考える。しかし何故かそれが出来ない。不毛な連鎖。これを断ち切れるのは間違いなく彼ではないとそう理解している筈なのに、まるで道化に弄ばれている玩具のように、瞬きさえ忘れてしまったらしかった。




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