愛、というのは色々な形がある。お互いを大切に思いやる愛、親が子を慈しむ愛。様々な形があるだろうが、俺は一般的な“愛情”というモノや形には興味がない。唯一ジャンカルロ、という人物から与えられるモノだけあればいい。それが痛みでも何でも。



「…アンタってほんと、オカシイよな。こんなことされて嬉しいワケ?」

ジャンの靴先が俺の顎を掬って持ち上げる。強制的に上を向けさせられる視線の先には嘲笑を携えたジャンの顔があった。その表情にすらゾクゾクと背筋に寒気が走る。いつも俺が座っている大きな背もたれの付いた椅子にどっかりと腰を下ろし膝を組んでいる我らがボス―、ジャンの口から次々と浴びせられる言葉に耳を傾けながら自分の足元にシャツ一枚の状態で座る俺をどう思っているのだろうか。醜い男だと思っているのだろうか。それでも構わない、ジャンにとっての俺がどうあろうと俺にとってのジャンは揺らぐことのない位置にいるから。

「……嬉しいさ。ハニーにされるなら何でも。」
「…へぇ。」

興味がないと言わんばかりに心のこもってない相槌に思わず笑い声が洩れた。気に食わなさそうに眉間に皴を寄せたジャンは組んでいた足を解き僅かな隙間を空ける。それを合図に足の間に身体を移動させてズボンのチャックに手を伸ばした瞬間、人より少し薄い前髪を強く掴まれた。自分を見る視線は酷く冷めていて、瞳の奥の真意を読み取る。少しだけ沈黙して離れる手に吐息を零してから、乱れた前髪を直さないまま唇をチャックへと寄せる。あらかじめベルトとボタンは外されていて、またその気遣いに嬉しさが込み上げる(気のせいかもしれないが。)
歯で金具を噛めば独特の匂いと金具の味が口の中に広がった。ノロノロとした動きで下まで下ろしてから下着越しにジャンの陰部を舐め上げる。まだ柔らかいその部分を何度も舐めながら時折ジャンの顔を視線だけで伺う。今にも溜息を吐きそうなほど開かれた唇からは呼吸の乱れも感じられずにただ黙って見下ろしていた。第三者からして見れば滑稽な図なのだろう。だが俺にしてみたらご褒美と言ってもいいくらいだ。ジャンが俺の名前を呼んで、触れて、蔑んでくれる。その事実だけで俺の最高の幸せとも言える。大袈裟かもしれないけど本当の事だから仕方ない。
くだらない話はここまでにしておいて、ジャンへの奉仕を続けようじゃないか。今までの経験を頭の中に思い浮かべつつ下着に噛み付いて苦闘しながら下ろしジャンの陰部を露わにして根元から上へと舌を這わせていく。舐めていく内に硬さが増すのを感じてから先端に唇を押し当てて鈴口を塞ぐと微かにジャンの乱れた吐息が耳に届いた。滲み出る透明な液を音を立てながら啜って一度口を離す。一心不乱に目の前の反り立つ陰茎に舌を這わせていればジャンの掠れた笑い声が部屋に響く。

「っは、はは…傑作だよなァ。CR-5の幹部様がボスを必死にご奉仕してくれてるんだからサ。」
「ん、ん……ジャンが良いなら俺は何だっていいんだよ。俺の人生、全てはジャンカルロの為にある。」

ジャンが肩を竦ませて俺を見下ろす。唇を離して顔を上へ向ければ忠誠を誓うように甲斐甲斐しく瞼を伏せて陰部に軽いキスを落とす。一度だけ舌打ちをしたジャンがどんな表情をしていたのかなんてわからない。見る気もしない。確かにジャンに愛されれば俺は今すぐにでもGDに身を捧げてもいいくらいの気分になれるだろう。だけど正直言ってしまえばジャンの気持ちなんてどうだっていい。俺がジャンに対する感情は変わらない。俺だけに笑いかけなくても、触れなくても。ジャンの世界のどこかに少しでも俺の存在があればそれだけでいい。そしてその向けられる感情の形がどんなものだったとしても受け入れられる。というよりは俺がそれを願っているんだ。ジャンカルロという太陽の中に差す影の部分は全部俺が受け止める。俺以外に受け止めさせはしない。


なぁ、ジャン。もしも俺が死んでしまったらお前は泣いてくれるかい?それともバカな男が居たと嘲笑うのかな。どちらにせよ俺はお前とこうして出会えたことに感謝をするよ。綺麗な関係じゃなくても俺はジャンと同じ時を生きられるだけで幸せなんだ。だけどこれだけは俺の心の中に留めておこう。言葉にしてしまったら意味がなくなるから。


―愛しているよ、ジャン。




俺の人生をすべて
(親愛なる、カポへ。)




110514

RUIさんよりサイト一周年お祝いに頂戴しました!
もうジャンベルジャンベルジャンベルあああすぎてもう真面目に殺しにきてるレベルです。ジャン厨なベルナルドがいとおしすぎてつらい。私の好みを知り尽くしてるRUIさんほんと神様…!知ってたけど!
何度も舐め回すように見たいと思います!素敵なお祝いどうもありがとうございましたー!

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