好奇心、なんて一言で片付けてしまえば簡単だ。彼がどんな風に俺に触れて、どんな風に俺を愛するのか見てみたい。愛を知らない訳でも、試している訳でも寂しい訳でもない。俺が(一番)愛しているのはベルナルドで、それは揺るぐ事はない。こうして他の男に抱かれるのは単に性分というか、ただそんな気分だったからというか。全く罪悪感に苛まれない自分を見るに、仕方のない事だと諦めている。どうしようもない。ただ、その代わりに彼はこの上ない罪悪感に苛まれているのだろう。それなのに離れようとしないのは、きっとその術を知らないから。(離れられて惑うのは間違いなく俺の方だ)

「来いよ、ベルナルド…今すぐ、あんたが欲しい」

 そんな台詞を吐きながら緩んだアヌスを広げてやれば、彼はそれでも優しく躯に触れてきた。俺が好きで好きでたまらないのに、どうしてこうも自分を押さえ込むのかねえ。嗚呼、好きだからこそ、だったりして。残念ながら俺にはその感情を理解しようとも思えないけれど。
 振り返って薄く笑んでやれば、腕を優しく取り払われた。抜け殻のように色のない表情をする彼。恐らく放心状態なのだろう。そうさせたのは他でもない俺。次いでねじ込まれる衝撃を想像していたというに、齎された生温い感覚にぎょっとした。

「な、んんっ…」

 舐めている。中から伝う知らない男の廃液を、何の躊躇いもなく舐めている。ただ内部を綺麗にする為の事務的な処理ではなく、愛おしむように丹念に、舌はぬるりと入り込んでくる。どうしたら俺が感じるのか、本能的に理解しているのだろう。何も言葉を発さないままぴちゃぴちゃと音を立てて舐められて。心地好さに攫われてしまいそうだった。

「っ…お前…何、で…っ」
「ん…?愛しているからね」

 なあ、そればっかりは、出来る事なら教えて欲しい。どうしてお前はそこまでして、俺、に拘るんだ?分からない。こんな風に俺を愛せるお前が分からない。俺が愛しているのはベルナルドで、ベルナルドが愛しているのは俺で、それなのに。分からない。そうだ、俺は、この男を理解しようと思った事がないんだ。ただ、与えられる全てに酔っていた、から。(そうなぞりながらも、こうして愛されている事に陶酔するんだ)
 絶えず続く愛撫に、躯は否応なしに反応する。お陰で頭はぐちゃぐちゃだ。途切れ途切れになったまま、繋がりそうもない。止めて、止めないで。どちらにも傾けないのは、俺が自分自身に諦観しているから、なのだろうか。

「入れるよ、ジャン」

 熱の籠もっていない声音。押し寄せていた快楽がふと取り払われたかと思うと、散々緩んだアヌスに切っ先が当てがわれる。嗚呼、俺はただ、あんたに愛されたかっただけなのかもしれない。そうぐちゃぐちゃの思考で弾き出すも、その答えを知る術など在りはしなかった。




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