「なあ、ジュリオちゃん。俺、シンプルなのが好きなのよ」
そう、俺の太陽が言った。眩いばかりの笑顔に無条件に胸は高鳴るが、どうしてもその言葉と、自分の置かれている状況を理解出来なかった。(本当は理解出来なくとも、全て受け入れるべきなのだ)仰向けに転がされて頭上で両手を括られて。俺の上に跨った彼は、その素敵な笑みを向けてくれた。懐から取り出したるはマッチと蝋燭。それをどう使うかは考えなくて良いし、そもそも考える必要さえない。
「だから、あーだこーだ考えるよりも、分かり易くて且つ双方にメリットのあるプレイを選ぼうと思って、さ」
彼の言葉を頭で追い掛けていれば、ぼうっとそれに火が灯った。とろとろ、とろとろ。穏やかに融けていく蝋。何を考える訳でもなくそれを見詰めていれば、少しばかり眉を顰めた気配がした。嗚呼、ごめんなさい。怒らせたのなら謝るから。手をこうして態と緩く縛ってあるのは、きっと俺を試しているから。俺が拒む筈がないのに、こんな事をする貴方が本当に愛しくてたまらない。
行き場を求めてゆらゆらと揺れる蝋燭。それはゆっくりと、俺の躯に向かって傾けられる。貼り付けられたのは眩いばかりの笑顔。俺は貴方の為なら何にだってなれる。だって俺には貴方しかいないから。とろりと垂れ落ちる融解されたそれ、には、何の感情も覚える事はなかった。
110219