!ベルジャン前提ベルナルド×ルキベル前提ベルナルド





 対峙した瞳は、正しく自分を映していた。同じ色、同じ形。鏡にしては随分と生々しい。違う意志を持った、自分。こちらを見据える男は、何処か怪訝そうに眉を顰めていた。それでも抵抗をしないところは、やはり俺なのだなと思う。

「何時から俺は、ナルシストになったんだ」

 そうか、俺はこんな声をしていたのか。苦笑しながら言うそいつは、実に人間らしいと思った。別に俺も人間を止めた訳ではないが、そんな自分は疾うに忘れて何処かへ押し込めていた筈だった。奴が放ったその言葉は、もう一人の自分が現れたという信じがたい出来事を指して言っているのか、それとも同じく俺を自分と違うイキモノだと捉えたか、はたまた両方か。何にしろ俺に答える義務はない。理解しようとする事さえ煩わしい。肩を竦めて薄く笑ってみせると、男は考える事を諦めたらしい、深く溜め息を吐いた。随分板に付いていると思った。
 腕を回して躯を引き寄せる。何時もこんなに細い男を抱いているのだと思うと、よく勃つものだなと笑ってしまいそうになった。ベルナルド、は、一体どんな味がするものだろうか。頬へと掌を這わせると、その男の瞳が不安げに揺れた。情けないな、自分を犯す二度とない機会だろう?そんな顔をしているから、お前の愛するジャンカルロにからかわれるんだぞ。

「まさか、愛するハニー以外は抱けない、とでも?」

 無言。それでも俺から視線を剥がす事はせず、僅かに口を尖らせる。案外この男は賢いのかもしれない。何故なら、此処では黙しておくのが何よりも正しいからだ。きっとこの先どんな展開が待っているのか容易に想像出来ているのだ。この状況を何の疑いもなく受け入れるお前には我ながらお手上げだ。嗚呼、強ちナルシストというのも間違いじゃあないな。正しく俺は今、お前(俺)を称賛しているのだから。




101115
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