「アンタ、こういうの好きだったんだな」

 侮蔑を含んだ声音が向けられた。含んだ、というよりはそれしかない、と主張しているようだった。しかしその表情には愉悦が滲み出ていて、嗚呼彼も満更ではないのだな、なんて考えていた。(そもそも彼がやり出したのだから当然といえば当然なのだが)
 こんな貧相な男の躯を触って何が楽しいのだろうか。ぺたぺたと、質感でも確かめるかのように、開けられた胸元を掌で何度も触っている。吊り上げられた口角を見るに、間違いなく今日一日は離してくれそうにないと思った。だがそれもたまには悪くはない。

「心外だなハニー、俺は、お前にされるんだったら何だって気持ちイイんだぜ」
「言ってろ、変態」

 一蹴。俺はそんなに信用がないだろうか。これでもお前なしでは生きていけないんだけどね。こうして大人しくマグロになっているのも、ころころ変わるお前の表情を見ていたいから。どちらにしても女々しい事には変わりないか。
 口調さえは冷たいものの、上に乗る彼は、ややもすれば口笛さえ吹き始めそうな程に上機嫌になっていた。思い通りになるのにそんな快感を覚えるのは、やはりカポの素質があるんだな、なんて。それにしても、乳首を力任せに噛むのは痛い。痛み以外の何も感じない。こんな、お前の望むマゾヒストを演じてやるのもダーリンの役目なんだろう?なあ、ジャンカルロ。




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