時折、俺はこの男の頭が大丈夫なのか、心配になる時がある。それは前髪的な意味と捉えてもらっても間違いではないが、それよりも、単純に人間として何処か大事なところが欠落しているの気がする。
 ねちっこく後孔を解して四つん這いにさせたかと思えば、腰を上げさせ尻を撫で回している。ともすれば唾液でもだらだら垂らしそうな程に、熱の帯びた吐息を惜しげもなく漏らしながら執拗に掌を這わせた。もどかしいだけの愛撫に、思わず振り返り眉を顰めてみせると。崩壊し掛けている顔面が、既のところで保たれていた。

「もう欲しいのかい?ハニーは欲張りだな」

 好い加減あんたのそういうのに嫌気が差してるんだって、分かれよ。大の大人が頬をピンク色に染めて、恥ずかしいったらありゃしない。こんな姿部下に見られたら何て言い訳するんだか。まあ、今のこいつに何を言っても無駄だとは思うけど。
 奴が取り出した中心は痛い程にいきり立って、解放を求めるように脈打っていた。あーあ、もう下着の中、ぐっちゃぐちゃになってんじゃねえか、だらしねえな。
 入れたいに違いないのに、恐らく自分を焦らして興奮しているのだろう。それを後孔に押し当てる訳でもなく、ただ先走りを塗り付けるように表面を行き来させる。独り善がりも良いところだ。

「はあ、はあ、ジャン、ほらっ…欲しいだろっ…ジャンっ…」
「…なあ、ほんと…そーゆーの止めてくんねえ」

 今度こそ緩みきった顔面に、溜め息が零れた。はあ、本当に、何でこんな奴を好きになっちまったんだろ。




100919
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