好きな人間だったら何でも好きか、何でも受け止められるか、と聞かれたら、そんな道理はない。顔に飛び散ってきた他人様の精液を拭うと、組み敷いた男の口元にす、と差し出してみせる。
 するとそのベルナルドという男は苦虫を噛み潰したような顔をしてみせた。当然だ。彼のそんな顔を見てみたい、と単純に思ってしまったのだから、仕方がない。

「アンタ、意外と人間らしいんだな」
「俺の事を何だと思ってたんだい、ハニー」
「ただのエロオヤジ」
「そりゃあひどい」
「…なあ、俺のだったら舐められるワケ?」

 我ながら愚問だと思った。きっとこの男は、俺を好きだろうがそうでなかろうが、それくらい朝飯前でやるのだろう。カポのお望みのままに、なんて恭しく言ってみせるが、何処を取っても胡散臭さしかない。誰が求めても彼は、同じような甘ったるい台詞を吐くのだ。
 ベルナルドは、俺がこんな、苦虫を噛み潰した顔をしている理由を、分かる筈がない。彼にとって理解する必要がないからだ。
 それでも、続きを請うように伸ばされた手を振り払う術を、残念ながら俺は持ち合わせていなかった。




100725
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