一つ、分かった事がある。エロい声で愛を囁く男は、それ以上にエロい声で鳴くんだ。ご奉仕してやろうか、なんて吐いたのは口実、ぐちゃぐちゃになったダーリンの顔が見たいだけ。なんにも知らず仰向けになったベルナルドの上に乗る。込み上げる嗤いは抑えられそうになかった。
前を寛げると、態とらしく舌をだらりと伸ばして、既に半勃ちになったペニスを舐めてやった。上目遣いで顔を一瞥すれば、恐らくこちらに釘付けになっていたであろう視線とかち合った。今にも陥落しそうなくらい、彼の顔はとろけていて。それが俺の痴態に対してなのか、被虐の歓びでも思い起こしているのかは定かではなかったが、俺にとってはどちらでも構わなかった。視線を戻すと、先端を口に含んでしゃぶる。少し扱いてやれば、それは簡単に屹立した。さすがに圧迫感に噎せ返りそうになる。慣れない事はやるもんじゃない。しかしながら、そんな稚拙な奉仕でも感じている男を見れば、からかってみたくもなる。
スラックスを膝の辺りまで下ろし、ローションを飛び散る勢いで股間に振り掛ける。間抜けな声と微かな抵抗は見ないフリをして、ぬめった指を後孔に滑り込ませる。ひ、と今度は小さく悲鳴らしき声が聞こえた。これもトラウマだったりして。何なら摘みを少し絞って素敵なムードでも演出してみようか。はい、3、2、1、
あれだけイヴァンに馬鹿馬鹿言っておきながら、俺だって馬鹿の一つ覚えだ。筆頭幹部を支配する方法を、一つしか知らない。
「ベルナルド、これ、なーんだ」
抵抗、と言うよりパニックを起こしてがくがくと震え出す彼には見える筈もない。というか真っ暗で俺だって見えない。折角経費無駄遣いして用意させたんだ、めでたい日に、これを使って祝わないなんて、どうかしてるだろ?ただ苦痛と快楽で歪んだ顔が見たいが為に、ここまでする俺も大分変わってる。十分に解す事もせず、ただ欲望のままに、細い蝋燭を、埋め込んでいった。
なあ、痛み、感じてる?変わらずひいひい言い続けているベルナルドの顔は涙とか唾液とか鼻水とかでぐちゃぐちゃ、もう見られたものじゃない。醜態を曝す彼が、愛しくてたまらない。そう、これは愛ゆえ、だ。愛なら仕方ない。
マッチの乾いた音が、悲鳴に重なる。大丈夫、ゆっくり、ゆーっくり堪能するから。泣き付くアンタを抱き締めて宥めてやるのは、俺の役目だ。火を灯す手が震えていたのは、紛れもなく、歓喜していたから、だ。
「ハッピーバースデー、マイダーリン」
100626