眼前に生クリームの入ったボウルを突き付けて問い掛ける。俺に舐められるのと、俺が舐めるのどっちが良い?そう無意味な選択肢を投げ付けるとそいつは、どっちも、なんて抜かしやがった。予想の斜め上を行くダーリンのハニーへの愛情と言う名の執着はもはやどうする事も出来そうにない。
 頬へべたりと無遠慮に生クリームを塗り付ければふるりと肩が震えたのが分かった。触られて嬉しいのか、そうかそうかそれは良かった。強請る事も抵抗する事もせずただされるがままになっているダーリンはこの上なく間抜けだが、俺がそういうのが好きだと知っているからこそなのだろう。
 それらしい雰囲気演出の為に両手を一纏めにして押さえ付けてやると、期待からか甘い吐息が漏れ出た。何だか俺も調子乗っちゃいそ。見せ付けるように眼前で舌をべろりと出して、塗り付けた生クリームを舐め取る。勿論それだけで終わる筈もなく、正しく犬、がそうするように、目蓋、耳、鼻の頭までぺろぺろと舐めていく。

「は、ぁっ…ジャン、…っ」
「擽ったい?」

 そうじゃなくて、気持ち良いんだろ。お決まりの文句は甘ったるいクリームと一緒に飲み込んで。蕩け切った顔は何よりもだらしがなくて、そして美しかった。戯れ程度の愛撫に一々反応する愛しい愛しいダーリンに、一番の御褒美をあげないと。
 顔中のクリームを舐め終えると、残念ながらもいきり立った自分のムスコにボウルに残ったそれを塗りたくる。我ながら間抜けな図だ。顔を跨いで眼前に切っ先を突き付けて、上唇をなぞるようにぬるりと塗り付ける。潤んだ瞳がゆらりと揺れて、こちらを捉えた。

「…ほうら、舐めたいんデショ、ダーリン」

 込み上げるままに、それらしい言葉を噛ました。なあ、こんなのジョークでしかないだろ。なのにそんなに興奮した顔でこっちを見るなよ、歯止めが効かなくなるじゃないか。




120716
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