・ジュリオとジャンさんが高校生
・ジャンさんが割にびっち




 一番空に近い場所。と言っても、三階建ての校舎では高が知れているが。決まって昼休みは此処で購買のパンを頬張る。今日は授業が延びに延びて、売れ残りの焼きそばパンしか手に入らなかった。まあこんな日もあるか、なんて最後の一口を飲み込んだ俺に隣からすっと出されたのは、クッキーやマドレーヌやプリンの数々。
 一つ下のジュリオと一緒に食べるようになったのは最近の事だ。そんじゃそこらの女子に負けないくらいストックを持っているスイーツ大好きな王子様は(ただし自分では作れないらしい)侘しい昼食に彩りを添えてくれる。

「やっぱ疲れた時には甘いもんだよなー」

 当然のようにクッキーを口に放り込む。次いで整った顔を覗き込めば、心無しか頬が染まっている、ように見えた。そうですねジャンさん、なんて呟きながらも何やら思うところがあったようで、ちらちらと顔色を窺ってきて。言えよ、なんて言ってもきっと何でもないの一点張りだろう、壁に向かって話しているようで少しばかり気が引けるが、もう一つクッキーを頂戴して笑い掛けてやる。

「何で月曜日から疲れてんのかって顔してるな」
「そんな、俺は…」
「知りてえ?」

 台本でも読み進めているかのように余りにも期待通りの台詞を返してくるものだから、ついすらすらと喉から音が零れ落ちる。そう言えば昨日の相手はあんまり良くなかったな。あれだけ迫っておきながらどが付く程のマゾだったなんて、思い出しただけでもノーサンキューだ。(それでも金は結構貰ったからやる事はきちんとやったが)
 ジュリオは、どうかな。満足させてくれるだろうか。脅される心配も後腐れもなさそうだし、少しくらい唾を付けておいても良いかもしれない。センスはあるし飲み込みは良さそうだ。何よりも、顔が良い。
 何がいけないかって、プリンの生クリームをご丁寧に口角に付けて気付かないこいつがいけない。気になって何時弄ってやろうかうずうずしている俺の気にもなってくれ。首根に手を回して引き寄せれば、抵抗もせず躯は傾いてきた。まさか狙ってたのか?なんてな。舌を伸ばして舐め取ってやれば、唾を嚥下するのが分かった。犬みたいで可愛いと思った。

「ジュリオは、俺の事もっと知りたくねえの?」

 寂しげに囁いて腕を回せば、後は何も考えなくて良い。嗚呼そうでもなかったな、午後はテストだったっけ。流石に留年はしたくないな。それで何とかなっちまうのが俺だけど。




月曜病の成れの果て
(こんな偶然が重なるなんてもはや幸運の持ち主とは言い難い)





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