「にゃー」

なんとも間抜けな声を発した男をちらりと横目で見た。
「ほれほれ、こっちだよー」
初めて×××の部屋に遊びにやってきた品田は、さっきから×××の飼い猫と夢中で遊んでいる。
四十路近い大人とは思えないはしゃぎ様に×××は苦笑しながらも、好きに遊ばせていた。

「はー疲れた、全然飽きないんだね君は」
ごめんおしまい!と手に持っていたねこじゃらしを放り投げると、品田はソファにごろんと寝転がった。
「猫っていいなー。やっぱ癒されるね、×××ちゃんみたいで」
先ほど放り投げたねこじゃらしを拾うと、おいでおいで、と×××に向けてぐねぐねと振る。
「私そんなんじゃ釣られませんが」
そう言いつつも、×××は読んでいた雑誌をテーブルに置くと品田の横へ腰を降ろした。

ぺちぺちと×××の頭をねこじゃらしで品田が叩く。
「ねー、×××ちゃん犬とかは飼ったことないの?」
「いや、今回が初めてだよ」
ねこじゃらしを持つ品田の腕を捕えながら×××は答えた。

「え、なに犬もいるの?」
どこどこ、と品田は部屋を見回す。
「品田さんには見えないかもね」
「なんで!」
子供の様に品田が拗ねる。
そんな姿が可笑しくなり、堪らず×××は笑った。

「全然なにがおかしいのか分からないんだけど」
「ううん、なんでもないよ」
×××が品田の頬に手をそえる。
「おっさんだけどね、なんか可愛いんだようちの犬は」
そう言って×××は品田に触れるだけのキスをした。
なになに?と不思議がる品田にまた可笑しくなり笑う。

「うえー、犬とチューしちゃった」
「何!?犬って俺のこと!?」


イヌとネコ




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