「ねー大吾くん」
「なんだ」
「大吾くんって、彼女いないの?」
「……どうしてだ」
「だって私、いっつも大吾くんと一緒にいる気がするし、彼女いないのかなーって」
 ×××はそう言うと、隣を歩く大吾の正面にまわった。
「それはお前が勝手について来てるだけだろ」
 大吾は目の前の×××を避けて、また×××の前を歩く。
「だって大吾くんの事、好きなんだもん」
「……あのな」
 大吾はハァ、と溜息をつくとその場に立ち止まった。
「俺は高校生に手を出すつもりはない。 そんなんでまたパクられんのはごめんだ」
「あー、確かに犯罪。 真面目なんだね大吾くん」
 ×××はうんうん、と両腕を前に組んで頷く。
「でも、あと数年したら私も成人するし!」
「数年後には俺はおっさんだ、もっと若い奴探せよ」
「大丈夫、今だって大吾くん、三十路には見えないよ」
 にこにこと屈託のない笑顔で話す×××に、大吾はもう一度溜息をついた。
「お前、一応聞いとくけど、極妻になるつもりなのか?」
「へ?」
 突然の問いに、×××は間抜けな声を零す。
「ごくつま?」
「極道の嫁になるって事だよ。 俺に付いてくんなら、最終的にはそういう事になるだろ」
「……あー」
 考えてなかった、と×××は相変わらずにこにこと言う。
「でも、そういうオプションもいいかもねー」
「あほ」
「大吾くん、これから大親分になるし、何か私も強そう!」
 でもね、と×××は続ける。
「お願いだから、私より先に死んじゃわないでね」
 少ししゅんとしながら言う×××に大吾は苦笑する。
「余計な心配してんじゃねーよ、でもまあ……」
 大吾は×××の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「このオプション、しばらくはお前に取っといてやるよ」


marry you




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