※ 毎度ひめかわ夫妻

※ 思考停止サインからちょっぴり続いている

※ えろいことしかしていないので分別のつかない子どもさんはバックプリーズ
(でも言葉が直ではないのでえろくは読めない。かも。ってイツモノコト)


I hope XXXXX……,



「…ン、はぁッ…」
 頭のなかに甘さが広がったのは、潮の目の前に映りこみ、そして今もなおあられもない光景を目の当たりにしているせいに相違ない。衣服はパジャマで下着も疎か。寝る前に潮はブラジャーを外すものだから今はそのやわらかな胸と、そこに聳える乳首の頂はただの一枚の薄いパジャマに覆われているだけ。寝間着のうえから触るとそれはつんと固くしこり立っているのが、いやでも分かる。鼻から呼吸を繰り返し、ふ、く、ふ、ん、む、と、声にならぬ声をくんくんと犬のように鼻を鳴らし続ける。
 足りない。
 頭のなかに蔓延るのは、そんな言葉ばかり。勿論比べるのは夫婦の性生活での充足のときと今。独り、部屋でこんなことをしている場合ではないと分かっているのに。それでも外へ前のように飛び出してせっせと働く、それが今一番に難しいことのように思われた。子どものことが頭にはある。それはなにかに打ち込んでいなければ消すことなどできないのだった。それを思うと頭のなかがモヤモヤとして嫌な気持ちになる。そんなときは気晴らしにせっせと行うことがこんなことだ。だが、一応の快楽を得てしまえば、あとからため息とともに後悔の念のようなものが出てくるばかりだ。悪いことをしているわけではない、そう分かっているのだがそれでも。
 面倒な考えが嫌で、潮の手の動きが性急になる。胸だけでは足りない。そう思った瞬間、その手は下へと伸びてすぐにショーツを割っていた。すでに足の付け根にはぬろりと湿った感触。どれだけ欲しがっているのか。浅ましいこの身体は。潮は己を鼻で笑いながらも愛する夫を思い、触れたそこをゆるく撫ぜた。
「はっ………、ンンン」
 肌はすでに脱毛済みのため、つるりとした感触しかしない。だから性器の形がダイレクトに分かる。けれど女のそれはどんなに触ったって、どんな形状なのか分からないままだ。きっと、このせいで男はこれを触りたいと願うのだろうし、愛おしいとか欲しいだとか思うのだろう。形の分からないそこに、潮自身の指が飲み込まれるようにずぶり、ずぶりと埋まってゆく。むろんそうしたいと思えばこそ、そこは飲み込んでゆくのだろうし、奥に指が入り込んでいく過程でどうしてだろうか、甘い疼きが指の側からきゅんきゅんと、呻くように腹から上り、胸の敏感な部位を軽くぴりりと内部からやるようにしつつさらりとそこをかわし、喉元を通り脳にまで届く。その脳は「気持ちいい」と言い放ち、指の数が増えていることなどお構いなしに埋まったものの太さなど考えることもなく、潮はあられもなく腰を振った。これが彼の身体自体であったら、それこそ満たされたのであろうに。だが、どこかしこを見ても夫の姿はそこにはない。それが、あまりにも虚しい。増やした指をくちゃくちゃとてんでばらばらに動かしつつ、己でも腰をカクカクとやる。そうすることで脳では読めぬ動きを作る。それこそが擬似的な彼の姿に一番近いことかと思って。

「………はあ」
 気をやったばかりの身体は快楽に打たれて熱く火照り、頭のなかは生ぬるい。頭のなかのあれとこれとはいつも一緒でいて、ばらばら。これを、なんといって表現したらよいのだろう。それをなんと呼ぶのか潮には、否、今の潮にはまったく分からないのだ。それは気をやったばかりの気だるさ、そして、まだ火照りの収まらないこの浅ましいともいえる、女の性をぷっくりと吸い取ったかのようなこの、熱を持て余すような虚しさが残るこの感覚。これこそが潮は苦手だと思っていた。
 だが、それをなくすためには一人での行為をやめなければならない。なぜなら、それはすべて一人での行為ののち訪れる心持ちであり、それを思うことはすなわち、夫の不在に思うことであったからである。そう、潮自身も分かっていた。静寂にはどこにも縋る場所なんてない。ただ残るのは物足りなさだけ。そして、今日はその思いがつよい。そんな気がした。
 眼に映るパソコンのディスプレイには、アンアンと動物のように喘ぐような女が無骨そうな男からガツガツと、女の快楽度合いなどお構いなしのように後ろから、テラテラと四角で覆われたモザイクの裏で男の頂を突き刺す動きをなんども何度も繰り返している。こんな安っぽい動画を見て、日々の欲を晴らそうとしていたのかもしれない。そう思うと潮は自分自身を嫌になる。だが、見えない奥のことを考えたり、よく知っている男と自身に置き換えたりすることで、それは自慰に代わる。そうら、今もまた、眼にこの動画の光景が焼き付いて。そして、目が離せないでいる。やらしい動画から。
 それを見ているうちに、潮はまた昂ぶってきた。喘ぐ女の声がキャンキャンと切羽詰ったものへと変わっていく。そうなりたい、と潮は思う。そうだ、自分はそうなりたいのだ。むろん夫の手によって(手、というのは比喩的表現である。念のため)。投げ捨てたショーツを拾うこともなく再びその手は火照りの渦を強めるべく、動き出す。これを浅ましいといわずして、なんと言おうか。腰がうねる。先の指二本では物足りないと粘膜が泣いている。前に買った大人のおもちゃをベッド近くの棚から取り出して、久しぶりにスイッチを入れてみる。ピンクローター。やらしいおもちゃだ。これを見るだけ少し期待に濡れてしまう。尚、これは誰にも内緒である。ブー、ブー、と低いモーター音とともに揺れるその小さなピンクの物体。モノだったものがなにかべつのものに変わる瞬間を、脳と性感で繋ぐ。低く唸り続けるローターを身体にくっつけては離し、その性感をゆっくりと追っていく。ほしいと願うところはいつも同じ箇所なのだけれど、そこではないところへワザとひたりとくっつけることで己の昂りをより高みへいざなうために。そして、一番美観な箇所には一瞬だけしか触れない。感度の弱いところを重点的に攻めていく。焦らされたほうがあとの快楽は凄まじいものになることを、潮は身をもってよく知っていた。
 アナルにそれを押し当て、鼻で呼吸をする。はふ、はふ、と抑えた呼吸が耳をチョイチョイと刺激していく。あまりアナルをどうこうした経験はないが、すこし前に攻められたとき、声が洩れるくらいには気持ち良かったのが忘れられない。穴の周りをクリクリとローターで刺激していくと、前をイジられるのとはまた違った感触にゾクゾクとした感触が脊髄を上って脳を攻めてくる。鼻で息するのがすこし苦しいほどに荒くなってゆく。そして前に触らないもどかしさ。それは腰のうねりとなって潮の脳髄をエロスへと染めあげてゆく。
「あ…、は、…は、う、ん」
 くねくねと腰を動かすと、それは時折核心に近い部分にも振動が伝うことがあり、そのときにちいさく声が洩れてしまう。だが、気をやるほどの刺激は訪れない。ベッドの上で下着を脱ぎながらスリップの下は何もつけず転がる姿はさぞや他人からは淫乱の極みに映ることだろう。これではまるで連日己を慰めるために見やるアダルト動画の女とさして変わりがない。そんな卑下した考えはすぐに消える。そろそろと己の指をあてがうと、ワレメに沿ってゆっくりと動かし出す。潤んだそこはすぐに水分を含み切った音をくちゃくちゃと放ち、それによって耳からも性感を高めていく。そこは先に気をやったばかりのところだから、すでにぐっしょりと濡れそぼっており、指で広げたりして鳴らす必要などとうにない。だが、またすぐに気をやりたくはなかった。人差し指と中指で擦って刺激する。あ、声が洩れる。もっと、もっともっと中へ、穿つような激しい刺激がほしい。だが、弱いところばかりを責めるような性急なものを望むわけではない。もっともっとと哀願して、泣くほど焦らされるのも悪くない。指がいとも簡単に、つぷりと二本とも潮の中に飲み込まれていく。所詮指だ、指の付け根までしか飲み込めない。もっともっと奥まで突いてほしいのに。アナルは先にあてがわれたままローターが低く唸って緩い刺激を潮へと与え続けているが、機械はやはり機械。単調な刺激はいつしか身体も反応が薄まっていく。最初のように跳ね…悦に入ったりはしない。前も後ろも、すべてが物足りない刺激ばかりを与えてきて、潮は焦れた。ほしい。ほしくてたまらない。勿論、彼から。夫から。その名を、興奮に濡れた声で囁くように絞り出す。
 あなたのことを、こうしてつよく思う。
「…んぁっ、あ、た、つや…っ」
 ふ、と視線を感じ、潮は半分ほど身を起こしその方向へと目を向けた。あるはずのない人の姿が。そして、なによりも会いたかった人の姿が。彼は、デスクにあるパソコンのディスプレイと、潮の姿を交互に見ていたようだ。呆気にとられた様子でそこに立っていた。荷物はどうやらスマホだけらしく手ぶら状態。彼はこの家をしばらくの間留守にしていた。とはいってもたかが十日程度。彼は仕事でヨーロッパに行っているはずだ。戻りは確か明後日。潮はカレンダーを何度もなんども確認したのだ。間違ってなどいない。それなのに彼は。熱を持った身体は脳から冷えていくようだ。それでも心がよろこんでいる。驚いた彼はすこしやつれたように見えた。慌てた潮は手の力が抜け、後ろの穴を犯していたローターがベッドから転がり落ちた。地面でブー、ブー、と唸るそれはちょっぴり耳障りな音で唸りわずかに移動している。何度見ても瞬きを繰り返そうとも、彼は間違いなく姫川竜也、その人だった。潮は荒い呼吸のまま、火照った身体だけをわずかな布部で隠して。
「帰って……きたんだけど」
 呆れたような、感情のこもらない声で竜也がいう。スマホはポンと台に置いて音もなく潮に近づいてきた。目は、やはりディスプレイと潮を交互に見ている。そしてディスプレイを見やりながらベッドの上で内股になっている潮の足元に手をつく。そこにはあられもない姿をスリップだけで隠そうとする潮の、妻の姿があった。これは、あまりにも帰りたての身にはある意味毒で、目に優しくない。男としては嬉しいのだが。理性というヒトの皮なんて、あまりに意味がないことのように思える。こうして発情を隠せないでいる女の姿を見てしまったのなら。竜也は抑えることなくそのまま身を屈め、隠そうとしていた手をどけてしまう。分かってはいたけれど、潮は拒否したり逃げたりしようとしない。熱は部屋の中をポカポカに温めていて、その桃色の空気に気圧されるように下着をずり上げた。
「…溜まってんのか?」
 どこか馬鹿にしたような、蔑む口調で竜也は潮のその身を舐めるように見回した。すでに火照り切って潤んだ身体には、前戯は必要なかった。ついでにいうと下に敷かれたシーツには世界地図にも匹敵しそうな染みが広がっている。何度か気をやったことは明白だった。潮が見上げた目と視線が合う。その濡れた視線はほしいと物語っていた。そして潮はそれを否定しない。頷く。溜まってんのだ、と。
「ハァ〜、……ばか」
 ため息は殺さない。そんなことで傷つく竜也の嫁ではない。抱きついて絡みつくように、むしろ招こうとしている動きだ。それは無論竜也自身にしてみてもありがたいことなのだが、ただこうやって一人エッチに興じていた嫁を美味しく軽々と、彼女の思惑通りにいただくのはいかがなものかと思ってしまう、そういう天邪鬼な心が出てはイタズラするというだけのこと。また、そんな心こそ潮が求めてやまないものだということもまた竜也はよく知っていた。
 そんな潮も負けてはいない。自分のあられもない格好を見て、竜也は喜んでいるであろうことを、彼のあそこを見てよく理解している。そこを撫ぜてやりたい。しゃぶって白い汁を吸い込みたい。その気持ちを抑えながらも潮は膨らみつつあるそこから目が離せずにいる。その膨らみを思うと自然と笑みがもれてしまうのだった。その鼻で笑うような笑みを見て、竜也はすこしだけたじろぐ。その様子がおかしかった。潮は剥がれた手も下着もそのままに、脚を広げて彼女自身の体の中心を、今度は逆に見せようとする。ほしい、という意思は間違いなく竜也に伝わっていることだろう。
「なんだよ? 毎日こうして、一人でシてたのか?」
 竜也の手が潮の髪をやわらかく撫ぜる。この手が愛おしい。この手が、ほしかった。潮はその愛おしさに目を細める。竜也は潮に引き寄せられるがままに、彼女に口づける。唇と唇とを寄せ合い、それだけでは飽き足らず、その唇の味や香りや感触までをもすべてを喰らおうと伸ばすのが唇自体と、奥に忍んでいる舌で。舌は同じ気持ちである共鳴感の中、互いに絡ませ合い唾液やらを飲み合う格好になる。不思議なのは、こんなふうに求めあったときに至っては、唾液などという人間の体内から出るただの分泌液が甘く、美味しく感じるということだ。きっとこれは、ほしいと思わせる気持ちなのだろう。耳に届くのは互いの口の中から漏れる水音ばかりだ。くちゅり、くちゅりと。潮の唾液は甘くて、竜也の唾液は美味しい。それが今のすべて。呼吸が苦しくなって、我慢がきかなくなったのは竜也のが先だった。鼻だけでは呼吸が追いつかないほどに昂りは最高潮に近づいている証。離れたときは舌と舌との間には離れたくないといわんばかりの、涎の糸が無色に引いて、やがて、切れた。そして、目が合う。その目は、潮からの誘いが滲み出ているのが分かる。
「…シてたよ、お前が、ほしくて。今日だって……、昨日、だって…」
 潮の声が濡れていた。
「ふぅん?」
 竜也はわざと鼻を鳴らす。それだけしかいわないし、自分からなにかをいうわけでもない。と、思った頃、竜也が潮の右足と左足とを割った。そこに頭を入れて顔を埋める。自ずと訪れるワレメのある場所は濡れ濡れになっていた。そこでひくつく箇所を、竜也の舌が緩く撫ぜていく。しかし間を大しておかずぢゅうぢゅう、と音を立てて吸いつく。粘ついた液ごと吸いつく。
その間にベッドの下へ転がったローターを拾って手の中に収めると、モーター音は静かになった。が、気持ち良さの熱に浮かれる潮は、そんなことなどもはやどうでもよかった。舐められたり舌でつつかれたり吸われたりする快感に身を委ねるばかりだ。基本的に愛液の味は甘みがあってなかなかの味だと竜也は心の中だけでちょっぴり思っているが、今日は少しピリリとした刺激感があった。一人でスる前にトイレにでもいったのかもしれない。この刺激はきっとアンモニア臭なのだろう。これを潮にいったら恥ずかしいとべそをかくことだろう、悦びながら。イジメたい気分のときにはそれを指摘してやりたいとも思うが、まずシャワーを浴びずにこうなることが少ないのだからこんなうまい具合にことが運ぶことなど滅多にないのだが、今日はそんな気分ではないのだった。う〜む、残念。竜也が滲む液を口の中に流し込む最中もまた、その粘ついた液は体内から生産される。気持ち良さともっとシてほしいという現れなのだった。竜也はローターをそのおっ広げた足の付け根にためらいなく、ぐ、と押しつける。そこがいいところだと知って。途端、潮の体が跳ねた。しばらくの間、体の痙攣は止まらない。震えに合わせて喘ぎは叫ぶような切羽詰ったものへと変化した。
「はっ、…た、つやぁああ、ぁぁっ! もぉお、ンあぁあっ」
 やがて全身を脱力させてその場にコテンと横になる。竜也はローターのスイッチを切りその攻め手を休ませつつ、よがり狂う彼女をしずかに見下ろしていた。たぶんこれで眼下のシーツで描かれた世界地図はできあがったことだろう。潮の中から指を出してそれをねっとりと舐める。舌から伝う愛液の甘さに眉を寄せた。この甘さに、いつだって思考は止まる。それ以上に何も考えられないのが潮なのだろうけど。
「…で? イッたの何回めなワケ」
 竜也はまた鼻で笑う。潮は声がまだ絶え絶えなので、わずかに首を横に振って応えた。達した回数を数えていられないのが女で、数えていられるのが男だろう、と各々の身体の違いを思う。再び、ついと首を傾けパソコンのディスプレイに目をやる。女がギャンギャン喚きながら(ちなみに音はかなり絞っており、ディスプレイに顔を寄せなければよく聞こえはしない)後ろから犯されている。この手の動画を見たのは何年ぶりだろうか。竜也は懐かしさすら覚えた。それを見て興奮する妻の姿が出迎えてくれたことにはおったまげたが。要は、男も女もそう違いはないということなのだろう。
「お前。こんなん見て、ぐしょ濡れとかヤバすぎ」
「……だっ、て………、竜也、が、いないから」
 どういう了見だ。まったく会話自体なっていないし、前後の言葉の意味がちんぷんかんぷんである。下腹部に触れる潮の手の動きが、竜也のモノをキュッと服の上から握り込んだ。その感触にそこは反応する。だからといって厚めのスラックスの上からではそれを潮は感じ取ることはできない。ただ、想像してニヤリと笑うだけ。それが竜也にとっての焦らしと解って。
「ねぇ……?」
 潮の顔が竜也の眼前に迫る。吐息すら近くて生ぬるい、否、その吐息は今は水っぽくて熱っぽい。尖らされつつくように潮の舌がペロリと竜也の鼻の頭をかすめる。まるで食べられるみたいだ。その眼には情欲の色ばかりが濃く浮かぶ。なにかいいたいことがあるらしい。ほぼ間違いなく、すけべな意味で。あとから細めた眼が静かに、そして艶めかしく笑う。
「シてみたいことが、あるんだが」
 今さらな話ではある。だが、それを聞きたいと思う、竜也のオトコの部分がムクムクと頭をもたげていた。すでにスラックスを下げようと潮の手先はベルトに手をかけバックルを外し、ズボンのチャックを開けてショーツの上からサワサワとやっているという有様。その手を司る頭がいう口である、シてみたいことなどというのはどう見積もってもヤラシいことだ。ショーツの合わせ目に指を入れこみ、直にそれを手に取る。温かさと脈打ちが生と性を感じさせる。早くこれに触れたかったし、これでかき回してほしいとも思っている。焦らされているのはどちらのほうか、もはや潮にも竜也にも分かりはしない。竜也の熱に触れた潮の吐息は更に熱く洩れる。
「なに」竜也の声色はそっけない。
「四十八手。……をしてみたい」
「は?」
「は、じゃなくて。四十八手、というヤツ。エッチ」
「そーじゃねぇわ。頭沸いてんのか」
「ち、違うっ。そういうど、動画を見て……。その、子どもがどうのとか、そういうの考えてエッチ、スるのは、イヤかな。っていうか…楽しく、いっぱい、そういう、エッチなこと、お前ともっとシたいんだ」
 姫川潮は、以前より性欲が増したんじゃないか? そんな幸せなような、複雑な心持ちを抱えつつ、ずるりとずり下ろされた下衣と下着とがなくなると、そこには冷たい風が通るようだ。否、硬くそそり勃ったそこはすでに窮屈だったので、ある意味ちょうど助かった、ともいえた。潮が熱を孕んだ股間を握ったまま、顔を寄せてうっそりと笑う。
「じゃあよ、」竜也は屈んで潮の髪を撫ぜる。その片手ではいつものようにスマホをいじりだす。
「見ながらヤること決める?」
 途端、潮の目がキラキラと輝いた。好きな人と好きなだけ好きなセックスができる喜び。
「まず、竜也を味わいたい」
 その場ですぐに掴んだままのそれを咥え込む。すでに雄の匂いが立ち上っているあたり、興奮は高さを保っているようだ。潮は手と舌と頭を動かして竜也をさらに高めようと画策する。根元を扱き袋を片方ずつ下から上へ舐め上げていく。そのまま裏筋に舌先を尖らせながらつぅーと這わせていく。その行為で竜也のモノは時折ヒクつき、わずかに大きくなる。ゆっくりと下から上へと下を使って責めていき、先っぽへと向かっていく。頂点は先走っており透明の液でテラテラと濡れていた。感じているのがわかる、この瞬間が潮は嬉しくてたまらない。尿道口までも攻めてやる。竜也の腰がわずかに引けた。逃さないように自分から寄せていき、先端をふたたび咥え込む。今回は竜也も逃げなかった。じゅるり。音が鳴った。それだけで、ヤラシいと潮も竜也もどちらもが、思ってしまった。そのままフィニッシュにもっていこうと潮は深く喉を開け、吸い込むように口を開いてそそり勃ったものを奥へと導こうとした。だが、竜也の腰が唐突に引いていき、それが読むことができなかったので逃げていく形になってしまった。もぁ、とこもった声が漏れた。潮は竜也を見上げた。その顔には冷たい笑みが浮かんでいた。ヒヤリとしたものが潮の背に伝う。それも瞬間だけのこと。無論、冷たいものを感じたのは恐怖からではない。これから起こるであろう、すこしキツめの快感について、潮はキュンと子宮と脳とで、雌として感じてしまったからだ。竜也はそんな思いを知ってか知らずか、潮の両足の足首を掴み、自分の肩に担ぐような格好にさせた。これではあそこが丸見えである。濡れそぼったそこが竜也が欲しいとヒクついているところが丸見えになってしまう。だが、竜也はきっとそこを凝視して、それでも顔色は変わらず、かつ、なにかいうでもない。腰と腰とを合わせ、互いの位置を確かめていたのが束の間、ぐ、ぐぐ、と押し入ってきた。丸見えの状態をガン見しながら。だと、潮は思う。たぶん、きっと。恥ずかしい。そう思いつつも、そうであってほしい、と願うのはどこかおかしな気持ち。ずぐ、と一気に押し入ってくる、重量感が懐かしさと気持ち良さでごちゃまぜになる。ん、うう、う、う、と呻くような声が出るのを潮は止められない。
「あ、あ、あ、ああ、あ、う、っ、あぅんっ!」潮が啼く。
 それは竜也にとっての悦びでしかない。ガツ、ガツ、と御構いなしに腰を動かし奥まで届くように突いていく。それが潮にとってもまた快楽への道。その動きは遅くなる。と思うと、唇を寄せられたり、身体のどこかを愛撫されたりする。竜也なりの気遣いだ。奥だけの責めは女を疲れさせてしまうし、時間をかければかけるほど、それは薄まってゆくことを彼は知っているから、こうした後処理の手前まで忘れていない。一度ギリギリまで抜いて、しばらく待つ。また激しく一気につく。ガツ、と。それは潮には、否、今の潮の沸騰した脳には読めぬ動きで、突かれるたびにあまりの快楽に吼える。潮のあそこがヒクヒクと竜也を逃さない力を強めると、それを嘲笑うかのように竜也は腰の動きを止めた。見る限りテラつく彼女の股間周辺は、思ったよりも幅広い。締め付けるそこから竜也は腰を引いてしまう。逃がさないと決めたのに、彼は、彼の都合で去っていってしまう。ダメ、と弱く啼く。ぬるり、と出ていってしまう感覚はいつだって寂しい。ぽっかりと穴が開いているような気持ち。現実に、開いてますよというツッコミはなしの方向で。潮の身体を横向きにさせて片足を持ち上げつつ、横から奥へとふたたび潜り込む。その体制は、潮の足に竜也が跨るような格好だ。潮はその角度の違いに擦られる箇所が違うことにすぐ気づき、奥まで入りやすいように腰をくねらせた。早く、はやく奥まで、と。この体勢もよく結合部が見える。きっと潮の被虐性に火をつけるスタイルだろう。太ももの内側も濡れている。竜也の指がその濡れ具合を確かめるために、しずかに滑っていく。その粘液は滑りを良くするためのものと変わらない。むろん、物理的にもそうなのだが。ある程度竜也が到達すると、すぐにぐっと腰を進める。潮が啼いた。
「あっ、…あぁっ、ふ、かぃい」
 竜也は構わず腰を振る。奥が締まって竜也を離すまいとするのがわかる。この絡みつき具合が実に心地良い。脇から手をのばし潮の花芽を指で掬ってやると、ひ、と跳ねた。あちらこちらから責められるのはとても弱いのだ。気持ち良さの矛先が、頭では処理しきれなくて潮はこうされると叫ぶような喘ぎしか生まない。竜也の腰の動きと手の動きはバラバラの快楽を潮へ与えるばかりだ。汗が飛沫となって散っていても、この甘やかな快感の中ではとても気になどならない。また、奥に入り込んでくる。瞬間、弾けるような脳に響くような感覚。もちろん竜也にもその気持ち良さはある。だが違うのは男女の体の違いだろう。快感の度合いがまったく違うのだ。確かに気持ちは良いものの、竜也は物理的な快感しかない。腰を動かせば気持ちいいのは確かだが、それは射精に導くための運動みたいなもの。女のそれには遠く及ばない。それでもそのときを求める力が強いのはどうしてか男で。快感の虜になっているのはいつも男の方だからこそ、こうして腰を動かすときは無心なのだろう。
 そのまま潮の身体を横向きからうつ伏せに、繋がったまま潮の身体を強引にぐるっと回転させ、その刺激に潮が啼くのも構わずに後背位の体制に持っていく。後ろからするのは元より胸の小ささを気にしていた(結婚して長いので、近頃はそこまででもないのは竜也にはすこし物足りないことではあるが)潮が好きな体位でもある。また、奥まで入るし腰を使いやすい点もあり、男女ともに快楽を得やすいスタイルであることもそうだ。そのまま角度を変えて腰をグラインドさせ、可能な限り再奥を抉るように突いていく。それに合わせて潮の喘ぎが途切れ途切れに耳に届く。これは悦びに咽び泣いているのだ。そのまま竜也は動きを早くし、奥で達した。なかなか体の震えが止まらなかった。潮だけではない、竜也もまた、彼女のことが仕事先でほしくてたまらなかったのだ。

 くたりとしながら二人で横になりたかった。しかし、このまま寝ては服がドロドロになってしまう。乱雑に服を脱ぎ散らかし、ここまでむちゃくちゃやっておいて、下衣しか脱いでいなかったことに、また潮もスリップは脱がぬままでいたのだということに、冷めつつある頭の中でようやく気づいた。なんと間の抜けたことだろう。しかも潮の状態が帰宅早々あれであったがために、前戯もそこそこにガッツリ頂いてしまったことを思うといたたまれない。半ば反省と、半ば潮に対する呆れを抱えつつ竜也は一緒にベッドに横になり、その身を撫ぜた。またその身に火がつかないよう、気を払いながら彼女のきめ細やかなその肌をふうわり触れた。潮は気をやってからぐったりとしたまましばらくの間、休んでいた。だがやがて、開口一番こういった。
「なあ? 四十八手、何個制覇…したかな?」
 …まったく、困ったエッチ好きだ。竜也はこれからの日を思うと、今日のことはサキュバスにやられたのだと諦めるしかない。否、生涯をサキュバスに吸い取られつつ絡め取られつつ、いつまでもつのか心配になるのだった。自分がどうして一日早めて帰宅したのだとか、そんな理由や仕事の話をするのにはもうくったりしてしまっていた。シャワーも浴びたいけれど今はむりだ。すでに竜也はとろとろとまどろみ、起きたら話そうと思いながら目を閉じた。潮がなにか話している。それもサキュバス潮に吸い出された精が足りない。混濁した意識は明日を見ないでも明日へと向かう。



17.01.24

※ ちなみに、本日は五手制覇(立ち花菱・雁が首・松葉崩し・燕返し・寄り添い)の設定で書いてます。名前を書いておくので夜のお供にどうぞ。


久しぶりなひめかわ夫妻。
うーん?って感じですかねぇ。メチャクチャヤらせたかったんですけど、途中で飽きた感が出てしまってるような気もするし、途中からすっかりエロ路線消えてるのは分かってました!でも…止まりませんでしたァッ!!
難しいんだよね、えろ。書けないのかもw
もし喜んでくださる方がいらっしゃれば嬉しいなーと。気が向いたら声をかけてやってください。励みになります。今のところ自分はえろなんてむりだなーってなってます。。
まぁ喘ぎ声を書くのが苦手だし、セリフ小説?になるのも苦手なので、描写だけでいくと説明文になってしまって色気がなくなっちゃうっていうのがあるんですよね、、、

ちなみに、四十八手ぜんぶを書くにはまず久我山がストレッチをしたりして、身体をやわらかくするところから始めることになるんですが、その話が入りませんでしたね〜…。ううん、残念。

まぁしばらく幸せな夫婦えっちな生活含む、にしてやりたいという、ちょっと逃げでもあるんですよ。
歳三十くらいになってますし、子どもの問題が話し合えていないところをちょっとずつ解決していこうかと思ってます。でも時間が必要なことじゃないですか、お金に余裕綽々だとしても、根本の解決ができてないわけだし、不妊治療にも問題があるのでそのへんも書いていきたい気がまだまだあったりします。
普通の夫婦にはあまりないこと(不妊は別として)で悩んでぶつかって成長してほしいものです。

やまなしおちなしいみなしでは、おもしろくないよなぁ。こんな話で、今回はすみません。って感じです。次回は頑張ろう。。なにかネタ?あったらよろです。使えそうなら、使わせていただきます(ひねくれてるけど)。

2016/01/24 11:39:41