深海にて34

※ただのえろ


溺れる。
溺れもがく。
甘美な悦びのなかに、刹那が見える。

苦しさよりも、間近の快楽に溺れる道を、愚かなニンゲンは選ぶのだ。
もがいたことも忘れ総て。
刹那のときを、遠い未来にシアワセだったと思い出せるにはどれだけの時が必要なのか。そんなことはどうでも良く。
溺れてみて、また望むのだ。
溺れることを。
深海で。



*****


 二人の呼吸のなかに、ちいさな喘ぎが混じる。立ったままの葵の側で跪くように中腰の男鹿が寄り添ってインナーの上からではあるが、ゆるゆると脇腹や腰を撫ぜた。葵はというと、パンティーも履いたままだが声を押し殺して黙りこくっている。男鹿から触れられる度に気持ちよすぎると思う。しかも、それは男鹿も葵も同じことだった。それを思うだけで体の奥底から何かが疼くみたいな、そんな気持ちになるほど。男鹿はあらわになった白い太腿に唇を寄せていた。ふっと息を吹きかけるだけでビクリとするのが愉しい。ショーツの上からではあるが、アソコを撫ぜて口付けると、ひ、と高い声が上がるのも愉快で堪らない。男鹿自身、こんなに自分がやらしい男だなんて思っていなかった。あまりエロいことに興味があるタイプでもなかったというのに。それはきっと幼かっただけなのだろうなと何となく思う。答えはないけれど。胸元を撫でると身を捩る。気持ちヨガっているのは明白だけれど、そういうポーズをするのはもしかしたら女の性なのかもしれない。男がオッパイに対して執着を持つのと、きっと同じなんだろう。そんなくだらないことを男鹿は感じた。
「ブラ、外しとけよ……」
 耳朶を舐めながら男鹿がいう。こんなふうにいわれては葵も拒否できない。こんなふうに、なんて理由付けに過ぎない。本当は葵だって男鹿に女として見られることが嬉しくて、そんな男鹿の前で裸になることは恥ずかしいけれどとても好ましいことなのだった。本当は抱かれたいと何度も胸の内で願っていた。ただ、それは口にはできないというだけのこと。男鹿の言葉に倣い後ろ手にブラのホックを外した。ヒモを左右にずり下げて外しやすいようにしておく。これ以上はインナーが邪魔してムリだ。その間じゅう、男鹿の舌は葵のアソコに近い太腿からパンティーを行ったり来たりする。焦らしている。すごく意地悪だと葵は思うけれど、何も言えずにいる。
「ちくび……立ってる」
 つん、とソコを男鹿が触る。口にされると葵は恥ずかしくて恥ずかしくてどうしようもない気持ちになる。だけど、それがぞくんとした快感につながるような気がするのは気のせいだろうか。インナーの上から男鹿が胸を責める。指で、口で。さっきまでは触ろうとしなかったアソコをパンティーの上からこする。摩擦するということが、これだけの快感を生むなんて誰が想像するのだろう。アソコを行ったり来たりする度に洩れそうになる声を抑えるのがやっとで、葵は必死に声を出すまいとガマンした。ん、ん、と呻くような声は洩れているけれど。
 責めが止んだと思えば、ショーツには男鹿の指がかかっている。見上げてくる男鹿と葵はバッチリ目が合った。目が語っている。と思ったら男鹿は口にもした。
「脱がしていい?」
 声にしづらい。葵は快感で潤む視線で何も答えなかった。ただ、答えは応だ。当たり前だ。相手は好いて付き合い出した恋人で、彼に暴かれるのなら恥ずかしいけれど喜ぶべきことだ。それを男鹿は汲まない。きっとわざとだ。そんなことを葵はのちに感じるのだが、そこまで感じられるほど余裕がない今では感じたものを全身に出すだけである。答えない葵を男鹿は脱がさない。ただし別の手を使う。男鹿はパンティーを絞って、まるでAVみたいにワレメに沿ってTバック状態にしてしまう。そうすることで葵のアンダーヘアも暴かれてしまった。絞った布を使ってワレメをゴシゴシと扱く。太腿にまた舌を這わせながらほぼ見えていると思われるアソコに視線は向かっている。や、やだ、と震える声で葵がいってもまったくやめる気配はない。どうやら男鹿がほしい言葉ではないようだ。
「やん…っ、男鹿ぁ…。ダ、メっ、ぬ、がして……」
 甘さを含んだその言葉に男鹿はようやく反応した。いわれたとおりに脱がせてやる。糸を引く。ああ、こんなにも濡れている。男鹿は感動した。女を感じさせることに悦びを覚えた。葵は男鹿の責めによってこんなに濡らしているのだ。男冥利に尽きるというしかない。あらわになったソコにようやくキスをした。ソコを舐めるとビクビクと身体全身で応える。ワレメを舌と指でこすると、葵の足は快感のためにガクガクと震えた。敏感な部分を責めると立っているのもやっとという感じで壁に両手をついて、なんとか立っている。男鹿の責めはやまない。
「やっ、あっ、ダメっ…。立って、らんないぃっ…」
「や、じゃねえじゃん。スゲ、びっちょびちょ」
「やだぁ…っ、音、させないでぇ」
「ヨガってるくせに」
 男鹿は身体を起こして葵にキスをする。葵がなにかをいっても冷たく聞こうとしない。わざとだった。そうすることで葵の快楽がより強くなることを知っているからである。男鹿はキスしながら自分のスボンを脱いでそこら辺に落とす。トランクスを押し上げる欲望が生々しい。葵はそんな男鹿の様子を見ると、内心とても嬉しくなるのだった。なぜなら、生まれて初めてのことなのだ、自分のことを女として見てくれて、かつ、欲情までしてくれる男がいるという事実は。


13.12.2

ずいぶん前に書いていた、番外的ただのえろ深海にて。でした。
1年半ぐらい放置しているし、こういうの書きたければいつでも書くよなぁと思ったので、とりあえずここまで(って2000字くらいは書いてるみたいです。。。
10というキリのいい数字で書こうとしたんだけど、深海にてシリーズが10で初めて結ばれるという展開になったのでお蔵入りしてたみたいです。
で、サービス回ということで(笑)35の区切りにしようと思っていたんですが、半端で34になっちゃいました〜。…なんかすいません。
しばらくはアンソロアンソロで男鹿葵はそっちのほうだけ書くつもり(他のは書くよ!)なので、ちょっと意味不明だけど載せておきます。これ以上書き足せそうにないし…
いやはや、なんかすみません。
2015/05/25 10:51:58