※ 毎度ひめかわ夫妻
※ 珍しくたつやくんのはつじょー
※ 小ネタ過ぎてへぼぃ



濡れる夜



 溜まったな、と思った時に耳に息を吹きかけながらイチャイチャすると、すぐにクタッとなる潮がさも当たり前だった。浮気防止のためにさらにそれには拍車がかかったような気もする。もちろん、抱かれることに悦びを感じているのだから、それは当然なのかも知れないけれど、あまり好ましくはない。いつも一緒になってしまうのが竜也は怖い。そんなことを考えながら、ぼーっと風呂に浸かりながら考えた。潮が浮気したら。ああ、きっとそうしないために自分の証しを刻み込もうとするだろうな。所有者は俺。支配者は俺。他の誰にもその許可なんてやるわけない。貸し出し厳禁。そんなことがあったら、社会的にそいつを抹殺しちゃうかもしれないな。それがごく当たり前のように竜也の頭の中に浮かんだ。こいつを所有できるのは俺だけ。その意味でも潮を抱く時に跡を付けてしまうのかもな。きっと、誰もが欲しがる逸材だから。
 そんなくだらないことを考えていたのは、酒に酔った感じで風呂に入ったからだろう。熱は酔いをさらに加速させるから、酔っ払いは風呂に入るなと言われるのだ。体ポカポカで風呂から上がると、潮がいつものように竜也を待っていた。ああそうか、こんなことを考えるということは、溜まってるんだなあ。浮ついた気持ちを潮にぶつけることにした。
「私も風呂いただこうかな」
「だめだね」
 無意味な拒否。唇を奪うと、吐息だけで潮が笑ったことに気づく。空気の揺れはとても敏感だ。そのままベッドに倒れこむ。二人でもつれるようにごたごたになっていけば、キングサイズのベッドですら容赦なく軋む。ぎしりと鳴る音すらこの瞬間には官能的。考えられることは一つしかない。ベッドの上でモタモタしながら服を剥ぎ取っていく。動きがいつもよりモタついているような気がするのは気のせいだろうか。だが、潮としても自分だってせめてシャワーくらい浴びたい。竜也は風呂に浸かってタラタラしていたというのに。潮は声を上げて抗議の一つでもしようとした。
「おっ、おい、おまえ、」
 どこか夢うつつみたいなぽややんとした表情の竜也を見て、それがいやらしい顔なんだとは思わなかった。この流れだと、間違いなく。
 だが、潮の心配は杞憂だったのか。胸の尖りをやわこく含まれて、あ、と小さな声を洩らすのは毎度のこと。弱いところも苦手なところもすべて彼は知っている。これらを教え込んだのも彼なのだから。さらりと流れる銀の髪を撫でて額に唇を落とす。おおきな子どもみたいだ、と潮は思った。
「竜也、私にもシャワー浴びさせてくれ」
「だ、め、だっつーの」
 潮の匂い。潮の味。ぜんぶ受け入れて呑み込む。そうしてやろうと今夜は思ったのだ。自分だけは汗も流してキレイな身体で。あまり暴かれたくないありのままの香りをじゅうぶんに堪能した。胸から下、脇腹に舌先を這わせてその流れで臍の中まで下をねじ込む。あ、そこ、だめ。とその感触にゾクゾクして甘い声が出る。これは感じてるんじゃなくて、なんかへんな感触で、訳が分からなくなっているんだ、と潮は頭の中で何度も思うのに、そこより少し下の下腹部はもう火照っているのが分かる。下着もすべて剥がされて暴かれてゆく。そのまま竜也の舌が双丘を割るように撫ぜていく。待っていた感覚に喉が鳴る。微かな水音すら耳を侵す。濡れてる。
「あ、や、はっ、だ、め…。た、つやっ…、き、たないからぁ…!」
 すぐ言葉はうまく発せられなくなった。でも分かっていて竜也は無視している。気持ち良くて浅ましく腰が揺れるのを止められない。竜也が顔を上げると、竜也の頭を見ていた潮とが目が合うのは必然。また夢うつつみたいな目をして、その目が少しでも私のことを愛おしく思っていてほしいと願うのは贅沢な願いだろうか。潮は妻という座に居座ってなお、そんな些細な願いをつよく思う。竜也は起き上がり、潮のすぐ隣に横になり直す。いつもより、やさしい目をしている。だからか口づけもいつもより少しだけ甘い。潮のメイク慣れしてないすべすべの頬を撫でて、竜也は口を開きかけた。キスしたい。潮はその唇に寄った。自分のアソコの味がするだとかそんなことを考える余裕はない。
「んっ……んむ…ちゅ、た、たつや…」
 じゅうぶんに濡れた。だから、そろそろ。
「……………たつや」
 やっぱり。潮はあのやさしげな目を見た時点で分かってはいたつもりだったけれど。クウクウと寝息を立て始めた彼の様子に、これからこの持て余した熱をどうしようかと考えあぐねいてしまうのだった。小さく、ばか、といって竜也の顔に、高い鼻にかじりつきたい気持ちを抑えながらその寝息を聴く夜が始まる。
 さあ、この長い夜をどう過ごそうか。


15.04.07

姫川が珍しく勝手に悶々として、エッチな気持ちをぶつけようとして、結局寝落ちするってアッポゥな話です。
もう少し短いバージョンで考えてたものを、エッチなところを少し長くしました。ら、結構長くなりました。
内容、へぼいのにごめんなさいね。
別にエロくもないし……

あ、ちなみにこの後は久我山がオナニーしてから寝るかなぁって時に、オシッコでたっちゃんが起きるかも。そんなん嫌かwww



冒頭のちょっとネットリとしたたっちゃんの気持ちっていうのは、今回は珍しいかなぁと思います。だからはつじょーって書いてみた。本当は久我山の発情ネタも書きたいけど、それよりも葵ちゃんのはつじょーが書きたいww
2015/04/07 21:15:49