※ 姫川夫妻のえっちな二夜めについて
※ 前に書いたやつとかぶってたらごめんなさい……


*追記あるのでちゃんと下までスクロール願います*


 竜也の舌先が久我山の身体を掠める。ただ、それだけのことで体温が上がるなんてどこかおかしい。けれど、徐々にそうなっていく感覚も、気持ち悪いわけではない。むしろ気持ちいいと感じてしまうのが、今までにない感覚で訳が分からなくなる。竜也が触れると熱っぽくなって、力が入らなくなって、くにゃくにゃになっていく。男に抱き締められると女というものはこんなふうに堕ちていくのだろうか。だが、今までにないよろこびはもはや潮の理解を超えていたし、どう対応して良いものかまったくわからなかった。

 夫婦なんだから夜の営みというものがあって当然だと思う。というか、ないと不安に押しつぶされそうである。そこまで自分は魅力がないのか、新婚旅行の時に初めてしたことは夢だったのか、と。だから、潮なりに考えてみた。家に帰ってきてから妻の身体に触れようともせずにケータイをやさしくタップしてフリックしている夫に対して。それはもしかしたら、異常なことではないのか、と問題提起を。だが、言葉なんてフリックしてる奴に届くわけがないことを、フリックしている人間として理解しているつもりだ。生身の人間と人間との間にフリックは不必要なもので、心を通わせるにはフリックは要らないと知っているから。だが、潮が答えを求めた先もまたフリックだ。自分なじみのケータイを弄って、エッチな動画やら悩みやらを何日かかけて探し回った。探し回るとセックスレスの夫婦なんて出てくる。他には、草食男子の話題だとか。そして、男の誘い方、みたいなサイトも貪るように読んだ。どうすれば竜也はその気になってくれるのか。よくわからなかった。ハネムーンの夜に一度だけ抱かれた。しあわせで、それだけでほとんど記憶なんてくちゃくちゃになってしまっている。ただ、翻弄されていただけだ。しがみついて、訳のわからない言葉を吐き出していただけだ。熱と痛みと、甘さを含んだしびれみたいなものと。そんなものにひたすら翻弄されていて、竜也がうっとりした時のやらしい表情であるとか、そういう蠱惑的なものしか潮の頭には残っていなかった。もっとすべての、竜也の与えてくれたものすべてを覚えていたかったのだけれど。竜也は気づけば同じベッドの上でタバコを吹かしていて、夜のことなんて何も言わなかった。ただ、
「大丈夫か」
と、それだけで泣きそうなくらい感動したのは、きっと『女』になった証なんだろうと勝手に潮自身が自己完結していたのだった。しかしあの日から竜也は潮の肌に触れようとはしない。潮は不安だった。好きなのだ。愛しているからこそ、夫婦の契りを交わしたのだ。それを、もちろん後悔するはずもない。けれど、竜也は違うのだろうか? そう思えば思うほどに不安は募るのだ。だから、自分なりに性の勉強をして誘ってみようと思ったのだ。

「竜也…」
 よぉおーし行けー! と頭の中では思っていても、さすがの潮もこういった男女間のことは慣れているわけではない。むしろ、慣れた竜也の側が何もしてくれないのだから困っているのであって…。名前を呼びながら顔を近づけてみた。間近に目と目が合うのはさすがにやりづらいのは潮も理解できる。なので、今度はキスしてくれるように、潮からは唇以外のところにキスすることに、瞬時に決めた。口にしてくれるのは、できれば竜也からがいいという、女の身勝手な望みがあるからである。ギュッと抱き締めて、首筋と耳元にキス。竜也がは、と息を呑んだ。だからダメ押しにネットの情報を頼みに言ってみた。
「竜也…、いちゃいちゃ、しよ?」
 遠回しでは気付きにくい。けれど、どストレートはさすがに面と向かって言うのには今は自信がない。だから、こんな程度で勘弁してほしい。そんな意味合いを込めて、潮は竜也の耳たぶにキスをしながら言ったのだ。だが、効果は思っていたよりもてきめん。言ったすぐ後にぐ、と両肩を掴まれ、あれ?と思っている間に唇に当たるのは竜也の唇で。あ、キスされた。と思っていたら口は離れていて、離れ際に驚くほどやさしい目をした竜也に視線だけでズッキュン射抜かれて、潮は夢の世界にでも飛んでしまったかのような心持ちになってしまっていた。ふわふわと。
「ったく、困ったやつだぜ」
 その意図するところが分からないままに竜也の舌が潮の口内で蠢く。言葉も動きも封じられて、これこそが望んでいたことなのだと気づく。もちろん、ねだったのは潮の側なのだが。いつの間にか口から口が離れて、舌先がそこここを静かに踊る。抱かれたいとは思っていたが、いざこうなってみると甘んじて受ける以外に何もできることはなかった。そんなに小慣れた態度を竜也が望んでいるわけでもないだろうし。ただ、竜也が楽しんでくれているかが潮には分からなくて、そこだけは不安になる。服の上から胸を揉まれて、さらに身体は力をなくす。くたりとしていくけれど支えは竜也だ。こんな時だし潮は初心者なのだから、それくらいの甘えは問題ないだろう。何かを探しているみたいに胸のかたちをなぞるように竜也の手が這い回る。その動きは手馴れたもので、背中へと手を動かしていくと服の上からブラのホックを外してしまった。服の中でずり落ちていく下着の感触は今までに感じたことのない新しい感覚だ。今度は服の上から下着のない状態の胸元を弄られる。ん、おかしな声がもれる。服の上からその感触を楽しむようにフニフニとやり続けると、小さくても敏感な胸はちゃんと反応を示してつんと尖る。そうなるようにわざとしておいて、それでも竜也はくつくつと笑う。だが、そうやってぺったりとくっついているだけで服を剥がされることもない。竜也の体温に身体を寄せながら、潮はおずおずと視線を上げた。
「脱がさないのか…?」
 下着まで服の上から外しておいて。焦らされているのか、魅力がないからその気にならないのかが分からなくて、潮は不安だった。身体に触る竜也の手と身体の体温だけが、今この瞬間の真実だ。
「いちゃいちゃしようっつったの、お前だろ。俺としては、このまんまでもいーし、脱がしてもいーけど」
 横目に見た竜也はいつもの様子とあまりに変わらないからどんな気持ちなのか測れず、股間も見てみたけれど、潮にはよく分からない。そもそも男のことを考えられるほど、理解していない。というか、恋人というものを作ったこともないままに、ずぅっと好きで好きでたまらない初恋の人と、望み通り結婚できたのだ。恋心はあれど、政略結婚に他ならないものではあるが。
「ううん…、たぶん、いちゃいちゃしてるうちに脱ぎたくなるし、えっちもシたくなってしまうな、きっと」
「いっつもどストレートだな」
「だけど、こういうことは私はよく分からないんだ。竜也、いっぱい教えてくれるか?」
「スッゲー誘い文句」
 これだけわかりやすく誘ってくれているのだ。竜也はその言葉通り服を剥ぎ取りにかかった。いやらしいけれど、とってもステキなことを教える旅に出るための準備だ。竜也は男だから分からないが、女の初めては痛いらしい。こんなにゆっくりと一人の女と向き合ったのは、竜也とてほぼ初めてに近い。つい最近まで生娘だった自分の妻に竜也は静かにキスをした。

かなわないなあ




15.03.26

えっちしてるとこを書こうと思ったんだが長くなったからやめたわけだが……www
見たい!って人がいたらコッソリ教えてください。久我山のおっぱいについて細かく描写したい病が出ておるからの。


しばらくアンソロアンソロかなーとか思っていたのだが、アンソロは全年齢で、かつカップリングは男鹿×葵しかないのでえっちなやつはワラワラと書こう!うん。おいどんはえろいのだ。
ということで、少しの間、姫川×久我山&葵ちゃん受け受け祭りでもしてようかな、と。あんまり喜ぶ人もいなさそう。。

一応、姫川夫妻の話は前向きなのも書きたいなぁというのがあるので、ちょいとお待ちいただければと思います。
鬱展開のまんま放置しておくのもどうかとも思うしね…。まだ内容は考えきれてないんで、しばらくいちゃこらさせるかと思います。

title 魚氏
つづきを読む 2015/03/26 20:22:30