マリオは山に行こうとヨッシーとルイージ、デイジー、ピーチ姫、キノピオとともにやってきました。ヨッシーの家は雨もりがひどくなっていたので木材を拾いに行くのもいいなと思い、ヨッシーはすぐにオッケーしました。しかし、マリオはすぐにヨッシーの背中に乗りました。
「ギャピッ! マリオさん、やめてください。今日はボクも用があって一緒に行くんですから、乗り物にしないでください。それに太ったんじゃないですか?!」
 今まさにリュックを背負おうとしていたヨッシーはさすがに意見しました。マリオは困ったように笑います。ダイエットも兼ねて、キノコ狩りに行こうと思ったというのです。ピーチ姫はケタケタと笑いながら冷たい言葉を発します。
「マリオったらガールフレンドと別れたのよ。二重あごになってきたからじゃないかしら?」
「そんなふうにいわないでくれよ……」
 この辺り、前にちょっと気があったマリオからするとズバズバものを言われてしまうのはつらいところです。複雑そうなかなしげな顔のまま肩を落としています。それを見て笑うのはルイージとデイジーです。

 DKマウンテンにみんなで出かけることにしました。しかし、国の管理が行き届いていない場所なので、とても森が深く迷いやすい道で、しかも道らしい道がないような厳しい道です。マリオのダイエットにはもってこいです。マリオはピーチ姫の後を追うようにがんばって歩いていますが、一番動きが遅いようです。ルイージは痩せているのでデイジーの様子を見つつ一緒に歩きます。キノピオはピーチ姫と一緒です。ヨッシーは一番最後にマリオの様子を心配しながらしんがりを努めることにしました。マリオはチラチラとヨッシーを見てきます。ヨッシーにはマリオのいいたいことなど分かります。しかし、しらないふりを続けています。それを聞いてやるのはマリオのためにならないと踏んだからです。
「なぁ、ヨッシー。さすがに疲れ…」
「マリオさんはダイエットも兼ねて、キノコ狩りをするんでしたよね。ボクが今日来たのは家のリフォームの木材の確保のためなんです」
 つまり、乗せないよ、という意味です。マリオは諦めたようにため息をつきました。しかしピーチ姫の鬼畜っぷりはすごい。時折マリオの様子を見てはニヤッと笑うのです。そしてキノピオに耳打ちし、それを聞いたキノピオはキャッハッハー、とあの耳障りな声で笑うことをなんども繰り返すのです。マリオはいらいらが募ってきました。その様子を見て、さすがにヨッシーはまずいなと思い声をかけます。ここでケンカなどすべきではありません。人では山に迷って抜け出られなくなってしまうかもしれないからです。
「最近、彼女と別れたんですか?」
「…そうだよ」
 マリオはおもしろくなさそうにフンと鼻を鳴らしました。その気持ちは分かりますが、それをまっすぐに態度に出してしまうあたり、大人ではありません。ヨッシーはこころのなかだけでため息をつきます。
「仲良しだったじゃないですか」
「好きな人ができたとか言われたのさ。ああ、最近いいことないから、好きなだけキノコでも食べたいよ」
「キノコならカロリーは殆どないからいいですね」
 本来の目的を思い出して、マリオはキョロキョロと辺りを見はじめました。まだキノコにはありつけません。それはそうです、まだ山に入ったばかりなのですから。それでも早くもマリオはばて始めています。ヨッシーもいい木材はないかと目を光らせています。ヨッシーの場合は、帰ってからが大仕事になるのです。家の補強をしなくてはなりませんから。マリオは汗用のタオルさえ持っていません。ヨッシーはリュックのなかに入れてきたタオルをマリオに渡しました。しかしけわしい山路なのですぐにタオルもぐっしょりと湿ってしまいます。ぬれたタオルで汗を拭きながらマリオはキノコを探します。キラリと目を輝かせた瞬間、とてつもない早い動きでマリオは動きました。キノコがあったのです。
「いやっほー!あったぞ」
 いつもの見慣れたスーパーキノコ…。ではなく、それにそっくりのベニテングダケ。キレイな赤の斑点のあるキノコらしいキノコですが、毒性がつよく幻覚が見えたりもします。恐ろしいキノコの一つで、有名なものです。マリオがそれを拾うのは初めてではありません。前にもなん度も拾っていることをヨッシーも知っています。マリオやルイージは大丈夫なのですが、前にマリオがガールフレンドに振る舞ったさい、死ぬ目に遭ったと別れられたこともありました。ヨッシーはベニテングダケを見ると、このことをかならず思い出します。
「ピーチ姫にも鍋を作ってあげよう」
「ピーチ姫にはムリですって!」
 それがマリオにはあまり理解ができていないようで、また同じことを繰り返そうとするものだから怖いのです。しかし構わずマリオはせっせせっせと毒キノコを含めたキノコたちを採っていきます。とれ始めると流れた汗も気にならなくなっていきます。
「マリオさん! ボクに背負わせるなんてあんまりです。ボクは資材を持ってかなきゃならないんですから、自分で背負ってください」
 さも当たり前のようにポイポイとヨッシーのリュックに積んでいくものだから、ヨッシーはそのリュックをマリオへと押しつけました。マリオのこういうところが鼻について、たまにケンカになることもあります。マリオはしかたなしにリュックを背負って歩き出します。
「しかし、ヨッシーはいいよなぁ」
「なにがですか?」
「結婚しなくていいし、彼女もいらないしさぁ」
「年齢A層の話でお願いできます?」
 ちなみに、Aは全年齢対象の意味です。ヨッシーの心遣いはこんなところにまで及んでいるのです。
「ボクは両性ですからね」
「キャサリンはどうした?」
「その名前は出さないでください…」
 マリオはふられたことを深く気にしながら、それでも気を紛らわそうとキノコをとるのです。
 それでも、キノコ王国周辺はいつもマリオたちのおかげで平和なのでした。


14.11.12

ふられた理由を書こうと思ったのですが、ちょっとやめてしまいました。そもそもマリオの文章ってひどいなっ!というところであげてみます。誰か読みたいよって人いないかな。。ちょっと小ネタとか書きたい。
2014/11/12 19:55:25