男鹿×葵小ネタとか
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 したいな、と思ったとき、言葉が出てこない。相手のことを思ってしまうし、もしアレだったら…とか気まずい感じもしてしまうから。どうすればいいのか。それは古市から借りたティーンズ雑誌にも答えはなくて、逆に苛々した。そして、古市もそんな本を買い漁っているわけなので、つまりは彼女と呼べる存在がいたこともないドーテイなのだから。古市に聞いたとしても、それは何の意味もない。ただの妄想の世界の戯言。あああ、でもしたいと思うのは、ふとした瞬間だったり、彼女と一緒にいるときのことだ。そういうことなのかも。ああ、そんなもんなのかも。

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ぞくぞくするくらいに、名前を呼ばれて抱きしめられる。好きだ、と耳打ちされる。それが女で生まれて願うことの一つなのだと私は思う。
 がくがくと声が震えるほどに揺さぶられて好きだ、愛してると耳打ちされながら抱き締められる。これを事実として認めてもらってから三ヶ月。何度も抱き合って微笑み合う。そんな朝を過ごした。朝から晩まで一緒にいられる。そんな幸福を噛み締めている。好きと愛している。その違いはきっと、辺りをはばかることのない、恵まれた空間も含まれているのだろう。それほどに、認めて欲しくて何度も祖父に画策したことがなつかしい。
「ねえ辰巳。私を、どう……っ、あぁ」
 そう、私は今揺さぶられていて、彼へと所有権を預けているのだから、今は彼の時間。だから、私は彼の与えてくれる快楽に、身を委ねて心地好くなるだけ。それが幸せ。


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 相手へ思いを伝えるのはどれだけ難しいのか。それは、死と隣り合わせでもないと素直に好きだなんて言えないことと同意だ。だから葵は言えたのだ。私が死んでも、思いは死なない。伝わらなくても、それでもいい。見返りよりも、今のこと。だからお願い、この拙くて意味の伝わりにくい言葉を聞いて。

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貴方としたキス。
初めて。生まれて初めてのキス。
どのくらい、どくどくと心臓が破裂しちゃいそうなくらいに鳴ったと思っているのか。好きだと何回も何回も、この小さな胸はしつこいくらいに鳴るから。実際にふれてみたらとまるかなと思ったのに、そんな思いもちゃぁんと裏切ってこの胸はまだまだまだまだ高鳴るばっかりで。
しつこいったら、ありゃあしない!

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「ここに、ベル坊はいる」
 とん、と自分の胸を叩いた男鹿の身を思いきり突き飛ばすようにして葵は本気で逃げた。そんなことをする男鹿はどこかおかしい、そう葵の心は告げていた。そんな男鹿など嫌いだと心の中で何度も言い聞かせたけれど、追いかけてきた男鹿が掴んだ手を、嫌だとどうしても振りほどくことができなかった。きっと、好きだと思う気持ちなんて、そういうものなのだろう。


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 きらきらと輝く夜空の星をみて、男鹿は数年前の過去を思い起こす。そのとき男鹿は高校生で、魔王の子どもと一緒にいて、それをめぐる冒険にも近いいろんな体験をした。なあ、あんな楽しくて難しいことなんて、これからの人生で起こるのだろうか?
 ベル坊は魔界に帰ってしまった。あれから人間界と呼ばれるここはとても平和で、ワイドショーをにぎわす、男鹿には無関係なニュース以外は特に何もない。だから、あのときは夢だったのではないかと、ふと思ったりもする。けれど、そんなときは葵がなぜかコマちゃんがどうのとか、べるちゃんどうしてるのかなとか、どうでもいいメールをよこしたりするものだから、あれが夢だったなんて男鹿には笑うことができないでいるのだ。
 今日もまたよく晴れていて、星空はみえやすい。そんな夜はよくベル坊を思い出す。…おやすみ。


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 手を握った。それだけであ、と思ったのは生まれて初めてで、それが互いにそうだったのだと分かったのは結ばれてからだった、なんてどこまでピュアでうぶな関係だったのだろう。これほどに感じてしまうというのに。目の前にいる恋人という存在に。このまま空気の中に溶け込んでしまえるのならきっと、誰よりもどこまでも幸せでいられるのだろうけれど。それも人という個体は許されないのだから、それ以上の幸福っていうものが、惜しむことなく訪れるのだろうきっと。

…そんな考え甘いだなんて笑うのなら、ほっといて。


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 ぶっ飛ばすのが好きだった。誰か、特に歳上とか目上のやつを跪かせることも好きだった。それは胸がスッとすることだし、おまけに周りのやつも喜ぶといったもの。けれど、それより大事なことが増えた。お前のことを考えて、ああだこうだと考える時間。そんなあまいことが楽しくて、わくわくするだなんてきっと誰もが笑うだろう。ぶっ飛ばすことより、土下座よりも好きなこと。それは、お前がこういえばああ返すだろうなと予測してみること。そしてそれを実行してみること。実行結果はなかなか。たまに予想していない答え。それについていけない俺。それ、もしかして読まれてんのか?俺。違うよな?俺。でも、わからないままの俺。だから、今日もまたその答え求めて予測を確かめていられるんだ。…そんな平穏。


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14.10.26


男鹿×葵の思いつき書き下ろし

こういう単発ならいくらでも書けそうw
これでもいいぞっていう人がいるかどーかはしらんけど。まあ私なら「書きたいなら勝手にかけ。あとは知らん。つか同人じゃん」としか思わないけどw



似たり寄ったりなのですまないが、こんなネタを書いてるうちたぶんかたまってくるんだろうなと思う寝る前。
では、おやす〜
2014/10/26 23:19:27