PS5を買ったとかいう古郡こなの家──キルバラシステムという素晴らしい同人ゲームをプログラムした、天才プログラマーは現在ひきこもりがちのまま種子島に暮らしている。以下、神代フラウという名前で記す。──へ休みの日に呼ばれて、海翔は久し振りに向かった。海翔は現在、種子島から出ている。というのも、島には予備校がない。大学浪人のため予備校に通う彼は鹿児島へ渡り、予備校とアルバイト、あとはポケコンでキルバラをしている日々。ついぽで話をしていたらフラウとゲームの話になった。もとよりゲー友みたいな関係なので休みでかつバイトも休みのときに遊ぼうということになったのだ。海翔は一人っ子なのだし母親も帰れば喜ぶということもあり、すぐに種子島に戻ることにした。近所のあき穂にも会いたい。
 過去、チュウタネロボ部でスーパーガンつく1を動かしてから半年ほど経っていた。あれから海翔はあき穂と晴れて付き合うことにしたのだが、元々幼なじみでもあったし関係にはそんなに変化はなかった。甘い言葉は「好きだ」と言ったことぐらいだし、それ以外は今までとほとんど変わっていない。少なくとも海翔はそう思っている。しかも、そのあき穂より先にフラウに会うというのだからもはやおつきあいとはなんなのか。そういうことも考えるのは面倒で先延ばしにしていた、ように思う。
「久しぶり。相変わらずひきこもってるわけ?」
「お、お、乙。八汐先輩」
 フラウは相変わらずこの種子島で真っ白な肌をして、ひきこもっているのが丸わかりだ。懐かしい暗くて寒いフラウの空間。不健康で、不潔なこの部屋は、寒い以外は居心地悪くはないのだが、ちょっと臭いのが気になる。部屋の真ん中にわざとらしく置かれた黒くてスマートな機械。
「こなちゃんってゲームオタクじゃなかったでしょ?なんで買ったの」
 眺めながら据置ゲーム機なんて懐かしくて驚いたくらいだ。だからソニーは傾いてるんじゃないか、と心の中だけで呟く。
「キルバラシステムを使って、新しいゲームを作ったののβ版。つ、作って、動かしたから、先輩にテストしてほしくて、呼んだわけだが」
 海翔は目を細めた。ポケコンでしかゲームをしていないのだが、PS5コントローラの手触りはどうだろうか。フラウはいそいそとモニタにケーブルをつないで映像を出力した。滑らかな据置機の画面が映し出される。
「こ、このPS5、部長先輩に半田付けとか、配線とか、き、基盤いじって貰って、改造してもらった」
「へぇ?アキちゃんは手先器用だからそういうときは使えるもんねえ」
 あき穂は今車工場勤めをしている。元々機械いじりは慣れてるので、就職先は種子島で見つけることができた。スーパーがんつく1を趣味で直しているらしい。だが、高校ではロボ部は存続していて、昴のお陰で部員が増えた。もちろんフラウは幽霊部員としてそのまま名前があるらしいが、しばらく部活にはいっていないとのこと。フラウを含めた女子部員が多いそうで、昴の車椅子の周りはハーレム状態だとか。で、そんなロボ部の様子見に、あき穂は休みの日にはアドバイスをしたりもしているとか。ちゃんとガンヴァレルにするんだとかなんとか言っているらしいが、その辺り昴と相変わらず衝突しているんだろう。海翔にとってはその辺はどうでもいい。
「ガンバムのMSで作ったお。ガンヴァレルより機体多いし、ポケコンより、いっぱい、容量使える。あ、とコレ、コマンド表。ちょっと、やってみてほしす」
 キャラもアニメもロボもどうでもいいと思っている海翔はコントローラを握る。軽くスティックを弾いてみて、その感触が手に馴染むことを知ってニヤリとした。ポケコンのコントローラに慣れてしまったから、ラグや操作についてはポケコンとはまったく違うものになるだろう。PS5の画面でガンバムバトラーを選ぶ。HDDに入っているらしい。キルバラと同じく攻撃ボタンは4つであとは八方向スティックの移動との組み合わせでコマンド入力。ただしタッグモードがあるため交代ボタンと相棒の攻撃ボタンがあるから使うボタンは実質6つ。これを手になじませるまでに結構時間がかかるだろう。海翔はゲームを開始した。とりあえずタッグマッチではなく、通常のシングルマッチを遊ぶことにする。コマンド表を見てとりあえずノーマル系の中期のガンバムを選択。敵MSだとマニアックなプレイになりそうなので慣らしには向かない。
「うっわ、すげっ」
 フレームレートがキルバラと比べものにならないくらい高いらしい。動きの滑らかさは尋常じゃない上に、液晶の大画面に映しているのだ。さらに操作のラグなんてまるっきりない。ラグに慣れてる海翔としてはそのレスポンスの良さに逆に目眩がしそうだった。
「120fps…超ヌルヌルのグチョグチョ」
 つまりミュウツベでは表しきれないほどのモーション。PS4で60fpsだといっていたのにさらに進化したらしい。というか、これをプログラムしたのはフラウだったはずだ。ハードの性能を最大限に生かしている。上に、ポリゴン欠けもないといった精巧さ。天才としかいいようがない。海翔には特別な才能なんてないので詳しいところは分からないが。
「こなちゃん、それやめない?なんかいちいち言葉がやらしい」
 基本はキルバラなのでコンボのタイミングは掴めている。だが、滑らかすぎてなかなか決まらない。というか当たり判定がキルバラよりも若干厳しめの判定にしてあるらしい。無限コンボなんて作られないよう調整したのかもしれない。チートコード作る輩はすぐ現れるんだろうけど。とりあえず一線めでは15コンボが最大。あとは超必と絡めるとどのくらい伸ばせるかといった具合。まずは基本の形と技を見ただけだ。
「ちょっとコンボタイミング変わったね。当たり判定も見た目通りより少し狭くない?あとはコントローラの違いと、ゲームスピードもちょっと上がった?」
「さ、さすが……八汐先輩、テラ廃人プレーヤー乙」
「普通に予備校とバイトでクタクタ。最近はキルバラそこまでやってないんだよ。鈍らない程度にコンボ練してるぐらい」
「じ、じゃあ、先輩、これからも……チェックプレーヤーよろ」
「俺PS5持ってないんだけど」
 予備校生では買うこともできない。据置ゲーム機は高価すぎる。5万とかだったような気がするが、そもそも据置ゲーム機自体が時代遅れの代物だ。今時、手持ちでできるゲームじゃないと売れないのはここ十年来の、さも当たり前なことだったと思うのに。こんなゲームをやらされてしまってはほしくなってしまうではないか、と唇を噛む。
「ミサ姉もテストプレーヤーにいいと思うよ」
 あき穂の姉のみさ希は、ゲームの師匠というか、海翔が思う追いつきたい背中であり、師ではないのだがそう願いたくなるほど子供のときからコテンパンにやられていた。それだけに追いつきたいと願ったのだし。だが、現在は執行猶予がついている状態。どうやって暮らしているのかは不明だが、生活保護を受けているとも働いているとも聞かない。もしかしたら、エグスケ社で貯めた貯金を切り崩して暮らしているのだろう。広報だった彼女の給料は決して少ないものではなかったはずだから。
「もし、こなちゃんが良ければミサ姉にも勧めたいんだけど?」
 恋とも、情とも違う。ただひたすらに、負けたくないという思いに負けながら海翔は身構える。またゲームを楽しみたいと。あんな夢みたいな、大きなロボなんて動かさなくても構わないから。それは、これから大人になる彼らでもきっと変わらない、ただの遊び心なのだ。きっと。


14.09.20

ロボノ初、へぼ文章でした。

途中から何がしたいかわからんようなりましたw

キルバラシステムとか神がかってますよね。そういう気持ちです。でもポケコンって今の、スマホとおんなじ感じね。
絶対はまらない!
というと、私はカイと仲良くできねぇ!と思うのです。ゲーオタとして悲しいなりな。。

追記:
ほんまに2020年にPS5出たのでは?
未来予想してたんだね、じぶん。
ちなみに2014年に言ってるからね。
ソニーのことぐらい読める?地元だし???w(追記は2022.01.02)

2014/09/20 22:34:33