高校生のとき、とにかく頭の悪い石ヤバといわれるバカ学校のやつらと、ほんの一時だが、同じ校舎に通うことになった。一番近いのが聖石矢魔高校だったからだ。とんだとばっちり。だが、そこで悪魔の影を、そして恋の影をも見ることができた。しかし、だからといってそれ以降、なにか進展があったわけでもない。悪魔について分かったこともなにもなかった。この自分の体も、とくに変化はなかった。
だのに、今になってザワつくのはどうしてだろうか。過去に感じたことのあるザワめき。これは悪魔の血がなにかを叫んでいるのだ、と五感で感じた。誰かが教えてくれたわけでもない。これを理解できる人間なんてきっといない。あの悪魔に魅入られた男以外には。あいつならきっと分かるだろう。しかし、彼がどこにいるのかなんて、知る由もない。噂には無事に学校を卒業したらしいと聞いたが、それ以降はなんの音沙汰もない。
平穏な日々。大学にいき、社会に出たばかりだが、無事就職も終えて、あとは親から離れてようやく一人暮らし。塾講師というものは、学校教師と違い『成績さえあげればいい』と割り切った考えで通る職だ。あんがい合っているのかもしれない、と割り切った頭で考えている矢先のことだった。
身を焦がすような、破壊衝動。それは久しく学生時代に感じていたものだった。たぶん高校の時だったろうと思う。中学のときからずくずくと脳と身体を侵食するように、解き放たれない欲望が頭をがんがんと打ちつけてきて、いつだってすべての邪魔をしてきた。
見たこともない祖父だか曽祖父だかなにかが悪魔だったと聞かされても、心は凪いでいた。そもそも、悪魔などという生き物は絵本の中に存在するものなのだ。母が小さく笑った。
「時代なのよ」と。
戦時中は人であろうと、悪魔であろうとなんであろうと、共にいたときもあったらしい。そこで恋にもならないロマンスがあったのだと。食欲が満たされない彼らは、子作りにどうしてなのか励むものなのだ。今だって現に、難民が生まれる地区はいつだって子どもは産まれ続けている。生き抜く本能は、昆虫にも増してつよいのが人間という生き物であり、悪魔という生き物なのかもしれない。それを生々しく語るほど、母はあけすけではないけれど、彼女の言いたいことはよく分かった。
「ぼくは、悪魔の子孫なんやね」
それでも、生きてほしいと生まれた子どもなのだと母はいう。それはそうだろう、彼女が悪魔とまぐわったわけではない。悪魔と共にあったひとはもうこの世にはいない。ただせめて、それが愛とか恋というものだったなら、どんなにか自分は心救われるだろうか。人として生きていい、と証しをもらった気になれるだろうか。
この黒い欲望を抱えて、黒に焦がれる彼女を、否、彼女らを思う。それでも彼女たちはこちらを見ようともしない。そこでまた生まれる黒。悪魔はどこまでいっても悪魔なのだ。立ち切れない悪魔の心と人間の身体。
「こんなぼくに、生きてる意味なんてあるんやろか」
独りごちる。誰もいない広いところで、悪魔の力を解放する。辺りには黒い闇が広がり、すぐにそれは閉じてゆく。まるで、最初からなかったみたいに。こうして解放してやらないと、力に振り回されて、抑え切れずにいて、生きてはゆけない。
悪魔は長寿だという。会いに行こうと思えば、彼に会えるのだろうか。
会ってどうする?
責めるのか?
その行為に意味は?
それとも当時のことを聞きたいだけ?
自問自答を繰り返す。そして、立ち上がる。もう破壊衝動はない。黒に惹かれる彼女たちに、まずは会いにいってみよう。悪魔な過去の男に会うのは最後で構わない。自分の道を探しにゆこう。
2020.09.05
べるぜバブ、二期────開幕。
なんちてなんちてww
まあ名前は書いてないけどアニメ見たりマンガ読んでた人ならわかるでしょ。投げっぱな彼を掘り下げたくて書いた。そんな好きなキャラでもないけどね。
自分さが知って言葉はわりと嫌いです。さがさなくてもいるでしょ、自分。とオイラは思うから。
しかし、現在は自分探してる人多いよね(ヒデとか。)
そういうのは理解できないんだけど、ルーツを辿る、とか「死なないために生きる」みたいなのはアリだと思うんだ。
単発の文章だし、続きも書くとは思ってないので(笑)かきっぱなしにはなりますが、前に向きになる話ならいいかなぁとか。
ガンバレよ!
ちなみに、まだコロナ関係の話はネタにしてません。
ネタにできるほど被害受けてないからかもしれんし、暗くなるからかもしれん。
2020/09/05 11:43:27