Love`s Power
どうすればお互いに幸せになれるのだろう。
ヤクザな家に生まれついて、当たり前の幸せなんて望んだ罰なのかもしれない。だが、一緒にいたいソイツと、そう願うことは過ぎた望みなのだろうか。
好きな女と一緒にいます。手をつなぐことも、照れくさいこちらじゃなくて、相手からしてくれます。ちゅーしてほしいと思えば、相手から目を瞑って教えてくれます。もちろん、それ以上のことも。
デートだっていつもニコニコ。相手はベラベラと楽しそうに喋って、次にどんなことをしたくて、どこに行きたいか、そういうおねだりもしてくれます。次があるんだ、って思えると男としても、力が湧くというものです。
それなのに、どうして。
いつだって、男と女のセックスはうまくいかない。一度めはしかたないと割り切れた。ほんとうは家で男一人、べそべそと泣いたけれど、そんなことは誰にも内緒だ。
二度めの機会。いつだって抱き合いたい。そもそもヤリたい盛りのオレたちなのです。できないなんて、思うはずもない。いつだってオカズの動画とエロ本ではうまくいってた。コンドームの付け方も、余裕で早くできるようになっていく(測ってないけど)。へんな『間』でおかしなことにならないように。男としての役割を果たせるように。
どうして。
オレのチンポは勃たないのか。
泣けるほどにふにゃりとしたままで。彼女の体に触れながら、どうすればいいのか迷いに迷い続けた。触っていても彼女は気持ちいいのかどうか、それすら分からない。つよく彼女を抱きしめて、二度めの春は冬になった。
それからというもの、オナニーでは問題ないそれも、彼女の顔を浮かべるとふにゃりと笑った。もう笑うしかないのかもしれない。ふにゃふにゃだぜ。
ここから、男としての自信もなくなってく。どうすれば取り戻せるのかわからない。だって、大好きな彼女を抱きしめながら、べつの誰かを思ってもたせるなんて、ばかみたいだ。そんなの男じゃねぇだろう。そう思ってしまう。
いつだって、三度めの正直に持ち込める。けれど、それを失敗してしまったら。それが怖かった。だから、しばらくディープなことは避けた。いつだってイチャイチャしたいのは世の常だけど、そんなの股間に関わる問題だ!と思えば我慢もできた。どっちの意味の股間に関わる話なんだか。
「別れよう」
泣くな。
そんな大きな目をうるませて、お前は泣くな。
そう思ったけれど、別れを切り出したのは男のオレだ。なにもいえるはずもない。オレじゃない誰かと一緒になるために、お前はオレと別れたほうがいいだろう。好きだから別れたい。
それはかっこつけすぎか。好きだけど、ミジメになりたくないから別れようと言った。ほんとうは好きで別れたくなんてない。好きだから。
それでも、へたでもセックスもできない男はあまりに魅力がないと分かっている。彼女がそれを苦にして周りの友だちに相談しているということも。そんな思いをさせたくない、そう思った。好きだから。
「ごめんな」
情けないオレのせいで、恥をかいたのはお前だったか。
緊張のせいかわからないけど、勃たなくなったのはきっとなにかの証なんだろう。きっと、オレとお前は幸せになってなれない。そう思うとこちらだって泣けてくる。だが、泣いてたまるか。フった男が泣くなんて、あまりにしょうもなさすぎる。それこそ泣ける。
彼女がべそをかきながら言った。
「やだ」
2020.09.04
お疲れ様です〜。
ちんこが勃たなくなった神崎、いわゆるED神崎の話でした。
前に書いた『痛がる話』とつながりがある気もしますが、想像にお任せします、、、、、
一応、彼女が誰なのかは想像にこちらもお任せ。
ほんとうは三度めまで失敗した話のつもりでしたが、長くなるのではしょった。。神崎くんもかわいそうだしね。
2020/09/04 23:14:37