極東の海。
そこには百以上もの島々からなる島国がある。
名を―神空月国(カグヅキ)。
神空月国には八百万の神々が住まうとされる。
古くから伝わる伝承、伝説は数知れず。未知と神秘に包まれた島々は、世界中の夢と希望の漂着地。
船乗りたちは、彼の極東の地へと思いを馳せ、舵を取る。
―帆を上げろ
―追い風に乗れ
とくに大航海時代と呼ばれるこの時代。海上の支配者であった海賊達は夢の地、神空月国に、ロマンを重ねる。
船首に佇み、日の出づる水平線を遥かに見据え、何人の男たちが荒れ狂う嵐に挑んだであろうか。
しかし、無事帰ってくるものはごく僅か。
彼らは口を揃える。
―気をつけろ、海の狼に。
―奴等は人間ではない。
―奴等は・・・
化物だ、と。
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