「え、私が……?」

マカがそう問いかけると、うむ!と言いニコリと微笑むキッド。
そしてその横には可愛らしいドレスを着たクロナ。

「私が……王子役!?」



  ―――毒林檎―――


「男勝りだし、王子役にぴったりだと思ったのだが」

「キッドがやればいいでしょ?」

「あいにく魔女という大役を任せられているのでな」

「普通、逆でしょ!?誰、役考えたやつ」

そんなマカの言葉を無視し、クロナに向かって「頑張りたまえ」と微笑むキッド。
ソウルやブラック☆スター、リズとパティ……みんな同じような服を着ていた。
「俺なんて小人なんだぜ」と興味なさそうに言うソウル。
「ビッグな俺様が小人とかおかしいだろ!普通大人だろ!」と発狂するブラック☆スター
に「大人だと普通に人間になっちゃいますよ!」とつっこむ椿。

「とにかく、王子はマカがやる事に決定している。他の奴等だって頑張ってるのだ!」

何故か熱をこめていうキッド。
左右対称な衣装を着る事が出来て嬉しいのか、はたまた魔女の衣装が以外にカッコ良いからなのかは分からないが、とにかく楽しみで仕方がないのは確かだった。

「というかさ、何で劇なんか……」

「死神様がいきなり、劇でもやって演技力身に付けといて〜って言ったらしいぜ」

「ソウルは嫌じゃないの?」

「別に。クールにやってのけるぜ」

「聞いてないから」

そう言って本を振りかざすマカ。
至近距離で避けるのは無理なのかそのまま角にヒットし、その場で倒れるソウル。

「さて、始めようじゃないか!」

台本片手にキッドが声をかけると一斉に声が上がる。


「暴力な王子に、対人恐怖症な姫、そしてこの左右対称な魔女!そして愉快な小人達!」

七人を軽くこえる小人の数だったが誰も大して気にせずに、白雪姫と愉快な仲間達の劇が始まった――




(キキキ、キスもしなきゃ駄目?)
(当たり前だろう、王子と姫はキスが絶対なのだ)