あお様へ


1万HITフリリク/ハレ→←アレ♀

おもい違い、すれ違い




玄関の鍵が開く音がした。
帰ってきた!
その音を耳聡く聞きつけたアレルヤは、読んでいた本を閉じ玄関へ駆けていった。

「ハ、ハレルヤっ、お帰りなさい!」
「…………」
「ご飯、できてるけど、っ食べる?」
「後で勝手に食う」
「ぁ……ハレルヤっ……」

迎えたアレルヤと視線を合わせることもなく、ハレルヤはすぐに2階の自室へと入っていった。

「……ハレルヤ……」

その背中をアレルヤは寂しそうに見送るしかなかった。


ハレルヤは変わってしまったの? ……ううん、違う。変わってしまったのは、ぼくの方だ。
ハレルヤはきっと、気付いているんだ。……ぼくの想いに。
ぼく達は姉弟なのに、なのにぼくはハレルヤを……。
だからハレルヤは、ぼくを避けてるんだ。迷惑なんだと思う。鬱陶しいんだと思う。でも、それでもぼくは……。
だからぼくは、ぼくを避けていると気付かない振りをする。
いままでみたいに笑って、いままでみたい話しかけて、いままでみたい接する。
そうすれば、ハレルヤはまたぼくと話してくれるかな? もとに戻ったように、見えるかな?

「ハレルヤ……」

ぼくは、ハレルヤが好きだよ。

「……くそっ」

自室に入ったハレルヤは苛立たしげに鞄をベッドに叩きつけた。
顔は見なかった。だがどこかよそよそしい接し方と声はどうあっても入ってくる。
なにか、隠しているのだ。ハレルヤには言えないなにかを。それはハレルヤの苦しみを更に増幅させる。


アレルヤは変わった。悟られないように変わってしまった。それは俺が離れたからなのに、受け入れたくないと拒み続ける。
好きな男でもできただろうか? いつも一緒にいた俺がいなくなれば、それも容易いだろう。
アレルヤは気付いていない。俺の想いに。
俺達は姉弟だから。だからアレルヤは拒むだろう。なら知られないままでいい。
隠してしまえば、繋がっていられる。それがたとえ、姉弟としてであっても。
……なのに、そう決めたはずなのに。手を伸ばしそうになる。弟としか思っていないアレルヤに、全部言ってしまいたくなる。
だから避けるしかない。隠れるしかない。
アレルヤに知られないように。いままで通りを装うアレルヤを見ないように。俺がいなくても大丈夫になっていくアレルヤに気付かないように。
だが、なにをしても変わらない。

「アレルヤ……」

俺は、アレルヤが好きだ。




END

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