エミ様へ


1000HIT/ハレ×♀猫アレ

幸せな微睡み




水に浮かぶような浮遊感。それは眠りから目覚める感覚だ。すこし不快に感じるのは、柔らかだがしっかりとした圧迫感のせいだろう。

目を開くといつもの天井。視線を下げるといつもの困ったような笑顔、ではなく久しぶりな頭と耳。既に寝る体勢だ。
「アレルヤ……?」
いつもは起こしにくるのに今日は体調でも悪いのかと心配したが、あぁそうだ今日は休みかと1人納得する。
つまりあれか。これは一緒に寝ようと、そう甘えにきているわけか。
恥ずかしいのか普段は自分からあからさまに甘えたりはしないので、こういう可愛さ(普段も可愛いが)を見るのは珍しい。

頭に手をやり撫でてやると、アレルヤの体から力が抜けていくのがわかる。へたった耳の端を指の腹でなぞるとピンと立つが、すぐにまた倒れてくる。
それが面白くて可愛くて、何度か繰り返しているとゆっくり尻尾が持ち上がってきた。しまった、やりすぎたか。
耳に触る手を退かそうと尻尾でペシペシ叩いてきたので希望通り退かしてやる。尻尾はそのまま顔の横に落ちていった。

「尻尾あげんな。捲れてんぞ」
アレルヤが着ているのは俺の大きめのシャツ1枚。形のいいお尻も尻尾を出すためすこしずらされた下着も丸見えだ。
声は聞こえたらしく、ポスッと尻尾を下げたのだが、裾は捲れたまま。
すこし体を起こして払うようになおしてやると、どこかに行くと思ったのだろう、胸元にあった手が肩に移動した。
どこにも行くなと言うようなそれに苦笑しつつ大人しく従う。

ふと思いだし、アレルヤの片腕を目線にあげてみた。初めて見つけたときに負っていた傷は既になく、痕も残っていなかった。
「……よかったな――」
その傷は2人が出会うきっかけではあったが、残ればいいとは思わなかった。傷も何もない、綺麗なままで出会うことが出来ていたらと思うこともあった。
だが考えても仕方ない。今が幸せで、これからも幸せであればいい。アレルヤがいればそれでいい。

視線をアレルヤに戻すと、上目遣いでこちらの様子をうかがい見るようなアレルヤと目があった。
「……っお前、聞いてやがったな?」
不機嫌そうにそう言ったが、すこし赤くなっているのは誤魔化せない。
色々と恥ずかしくなって体の上から落としてやったが、今のアレルヤにはきかないようだ。むしろ、首に腕を回してさらにじゃれついてきた。
すぐになにを言っても無駄だと悟り好きなようにさせると、また睡魔が襲ってきたようだ。体の力を抜き、そのまま眠る体勢になる。
結局寝るのか。頭を撫でてやると、アレルヤはゆっくり眠りについた。アレルヤの腰を引き寄せ目を閉じる。

「――ハレルヤ――」

寝言だろうか。呼ばれた名前に、自然と笑みがこぼれた。




END

- 5 -
[*前] | [次#]


戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -