・それは偶然ではなく必然 /krk/赤司

きっと星の数ほど、とか
十人十色、とか
そんな確信もないけれどきっとそう思えるような言葉ってあると思うの。

‥‥私はそう信じてる

そんな確定的な私の心を動かす君は
私のことをどうしたいのですか




今は大学生
良い大学に通って、充実した日々を過ごしている

成績は良い方、じゃないとこんな大学には入れないでしょう


中高一貫女子校だった私に、共学というのは大変刺激が強いけれど

赤司君という性格が合う友人もできた


バイトでは塾講師もしていて、毎日が濃く楽しい
ただ、中学生くらいの子たちを見ると昔の自分を思い出してしまう

全てのことができない問題児だったなぁ、なんて今更思っても過去には戻れないけれど

思い出すのは仕方ないことですよね…。











成績が悪くても
素行が悪くても
それは貴方には関係ないじゃない

別に私のことなのだから。


こんな言葉を親に言った時から私の世界は壊れていたのかもしれない。
パラパラと端から消えてなくなるような綺麗なものではなくて、
もっと汚い、夢がない
バラバラ、ボロボロといったような崩れ去るような壊れ方

壊れたのは中学3年生のとき

いじめにあったのだ
ただ、調子乗ってんじゃない?
と言うリーダー格の女子の一言で始まった

なにもかも裏切られて、親にはあたってしまって
自分が何をしてるのかもだんだんわからなくなってきてしまっていた

私の夢でたくさんだった綺麗なココロはこの中学3年生という期間に、ここまで汚れてしまったのだ








‘心が汚れてしまった少女の存在意義はなんでしょう’

ネットの一般質問コーナーに書き込んでしまった文
別に答えが欲しいわけではない。
ただ、自分の、自分でも制御出来ないこの気持ちを多分どうにかしたかった


“そんなことを聞いて、君は一体何になりたいんだろうね?”

すぐに帰ってきた名無しさんからの返信。




少し煽るよるな回答に怒りが煮えたぎり、ヤケになって

‘あなたに何がわかるんですか’

なんて返してしまった
質問したくせに回答者に向かってこのような口の聞き方は冷静に考えると完全に晒しの対象となるものなのに


名無しさんは
“吐き出すと、楽になることだってある”

“誰でもいい、なんなら俺でもいい”



ーーーー誰かに話してみる気はないかい?





と。




すぐに名無しさんのページにとんで、ボードで話した



私は何をしているんだろう

期待もされないし、何故存在しているのかわからなくなってきて

もう後に戻れなくて、私はどうすればいいですか


と。
名無しさんは優しく、私の怒りや重い悲しみを解してくれて


彼に、救われました
こんな綺麗な人がいるんだと
凄く、驚いた





(誰かが見守ってくれるよ

(私にはいないんです

(じゃあ仮に、それは俺ということにしておこう

(……はい。

(君は、心配する人がいるのにそれを無視、するのかい?

(…いいえ。

(じゃあ、少しくらい、頑張ってみたらどうだ?


………ありがとうございます





お礼の文は涙でぼやけて見えていたけれど
ちゃんと送信できただろうか














「舞花」

「あ、赤司君
どうしたの?」

「心ここにあらずとでも表せそうなくらいの状態だったよ」


大丈夫か?

と心配してくれて



……心配?

少し笑ってしまった
あぁ、こんな身近にも心配してくれる人がいるんだな、なんて

「なんだ、急に笑って」



「ううん、ありがとう」
今度は、相手にちゃんと伝わりましたよ。
だって今見てますもの





大丈夫なら、いいんだがな

と少し呆れた眼差しで彼も笑っていた



「あぁ、舞花

今は、俺が見守っているよ」







ーーーーえ?



じゃあ、また講義のときにでも

なんて微笑みながら去っていく彼は、本当に策士だと思う






それは偶然ではなく必然













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