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- ナノ -
25


『これで、新選組ともお別れだね。』


私たちは、今まで持っていたたくさんの物を手放して、新しい道を歩み始める。
私よりも色々と葛藤しながら新選組にいた平助は、どんな気持ちでいるんだろう……。

そう思って視線をやると、こちらを見ていた彼と目が合った。


『どうかした?』

「ああ、最後にもう一度だけ聞いときたくてさ。」

『……何を?』

「…………千華。おまえ、後悔しないか?」


その言葉には、色々な意味が込められているんだと思う。


『……後悔なんて、しないわ。だって私の一番の望みは、平助と一緒に生きることだから。これから先、何があっても、悔やむことなんて絶対ないよ。』


そう言って私は、満面の笑顔を向けた。
だってーー。


『平助のいないところに、私の幸せはないんだから……』

「……そっか。まあ、そう答えてくれるとは思ってたんだけどさ。やっぱ……、おまえの口から聞きたくて。」

『口にしないと伝わらないことって、あるものね。』

「ああ。……実は、オレもあるんだ。今まで、言う機会は何度もあったけど、はっきり言えなかった言葉が。」


そう言うと、平助はいったん口を閉じた。
それから、静かに私を見つめる。
まるで、言葉を紡ぐ勇気を集めるように。
そしてーー私が一番聞きたかった言葉をささやいてくれた。


「千華、オレ……、おまえのことが好きだ。おまえ以外の女なんて、目に入らないくらい。他のどんな相手とも比べられねえぐらい……、好きだ。……ありがとうな。オレを選んでくれて、こうして一緒に来てくれて。」

『…………』


待ち望んでいたその言葉は、思っていたよりもずっと甘くて、優しくて……。
思わず、涙が込み上げてくる。

血を求めて苦しむ彼を見て、胸を痛めたこと……。
人知れず苦悩する彼を、支えてあげたいと思ったこと……。
その思いが今、全て報われた気がした。


「お、おい千華!どうしてまた泣くんだよ!オレ、泣かせるようなこと、言ってねえだろ……!?」

『ごめんね、私……今の言葉が、すごく……すごく、うれしかったから……』


平助の手が、戸惑うように私の髪に触れた。
そして……。


「……おまえが喜んでくれるなら、これから先、いくらでも言ってやるから。だから、もう泣くなよ。……な?」


照れたように、それでも笑顔を浮かべる彼に、私は何回も頷きながら必死に涙を止めようとしたのだった。


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