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二話

土方さんと千鶴が出ていくのを見送って、私は自室の前の縁側から外を眺めた。

……綱道さんが見つかればいいけど…。


「一緒に行けばよかったって、思ってる?」

『総司。』


振り返れば総司が笑いながら後ろのふすまに寄りかかって此方を見ていた。


『いや別に、そんなことは思ってないけど……』


どうにも決まりが悪くて、慌てて目をそらしながら言うと、彼は意地悪な笑みと共に言う。


「へぇ、思ってないんだ?」

『総司、からかうのやめてくれる?』


横目で彼を見ながらそう言うと彼は心底楽しそうに笑いながら謝った。


「ごめんごめん。あまりにも千華がつまらなそうにしてたからさ。」

『まぁ、確かにそうだけど。それにしても、千鶴が外出できるようになったのは総司と一君が土方さんに掛け合ったからでしょ?』

「土方さんに掛け合ったのは一君。僕は、後ろで軽く頷いただけ。」

『ふぅん。』


それでも総司が土方さんの所に行ったというのが凄い。
ましてや千鶴の事で行くなんて、珍しいことだ。
基本、近藤さん以外の事では土方さんに掛け合うなんてこと自体ないのだから。


『あの子の剣術、どうだったの?』

「悪くはないと思うよ。でも、不用意に小太刀を抜いたり、僕たちの前に出てこられると邪魔かなあ。」

『正直かよ。』


もっとこう、柔らかく包んで教えてくれると思っていたけど、総司相手じゃ無理か。
でも、鍛えれば強くなるかもね。
実際に見たわけではないからどうとは言えないけど。


『そうだ、総司。この前左之さんに買ってきてもらったお団子あるけど、食べる?』

「もらおうかな。」

『じゃあ、部屋で待ってて。』


総司は軽く手を振るとついと身をひるがえし、のんびりした足取りで部屋へと戻っていった。
私はそれを見送って、お茶を取りに足を進めたのだった。


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