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真犯人



剣持警部と向井刑事とあたしとはじめちゃん以外のみんなを席に座らせる。



「柚葉、もういいぞ」



はじめちゃんの言葉にあたしは黒板に書いていたのをやめてチョークを置いた。
「サンキュ」と言ったはじめちゃんに頷いて彼の隣に並ぶ。



「みなさんに集まってもらったのは、これから簡単なテストを受けてもらうためです」



はじめちゃんの言葉に校長先生はチッと舌打ちをして扇子を広げた。



「何かと思えば、私は忙しいんだ」



そう言って立ち上がる校長先生を「まぁ、久米先生。そうおっしゃらずに」と警部が止める。



「時間はとらせません。すぐに終わりますから」



はじめちゃんの言葉を合図にあたしは一人一人手渡しで、問題用紙と答案用紙を配った。


数分後、回収した解答用紙を剣持警部から受け取ったはじめちゃんが口を開く。



「それではテストの成績を発表します。このテストの成績は連続殺人事件の真犯人を教えてくれるはずです」
「真犯人!?あれは、自殺として解決されたはずだろ!」



阿久津先生の言葉にあたしは首を横に振った。



『いえ、あの3人は殺されたんですよ』



あたしの言葉にみんなが視線をあげる。



「俺が思った通り、このテストが真犯人を教えてくれたよ」
「こんなふざけたテストで何がわかるっていうんだね!」



扇子で問題用紙を叩きながらそう言った校長先生に、はじめちゃんは「問1を見て下さい」と言って校長先生に近づいていった。
あたしはそれを黒板に寄りかかりながら見る。



「あの3人の死体を吊るすのに使ったロープはあるコンビニチェーンでしか売られていない特殊なものでした。つまり、問1の正解は、1のコンビニということになります」



はじめちゃんはみんなの間を歩きながら説明する。



「このテストにはこれと同じように50問、全ての問いに今回の事件の真犯人しか知らない正解が入っているんです」



校長先生と阿久津先生がはじめちゃんの言葉に問題用紙を見る。
はじめちゃんは吉村さんの後ろで止まった。



「それでは結果を発表します。最高得点は17問正解の吉村理沙!」



吉村さんを見下ろしながらそう言ったはじめちゃんの言葉に吉村さんは顔を上げた。
そして向井刑事が手錠を掲げながら彼女へと近寄る。



「吉村理沙〜!!連続殺人事件の容疑で逮捕する!!」



吉村さんが逃げるように立ち上がると、はじめちゃんは「ちょっと待った!」と声を上げた。



「誰も吉村が犯人だなんて言ってません」
「なにィ〜?」



向井刑事ははじめちゃんへと詰め寄って上から見下ろす。



「確かに犯人は全ての正解を知っています。だからと言って犯人が高得点を獲ると思いますか?」
「それは···」
「俺は逆だと思います。犯人は自分が事件に関わっているのを隠す為に、わざと正解を避けるはずです」
「なるほど。犯人によく見られる心理状態だ」



警部の言葉にあたしは頷いた。
そして腕を組みながら口を開く。



『このテストで0点を獲る確率は70000分の1。つまりほとんど不可能ということです』



あたしがそう言うと外で雷が盛大に鳴った。



「しかしこの6人の中に、その0点を獲ったものが一人だけいます」



雷がみんなを照らした。
それぞれがお互いの顔を見る中、小野先生だけがじっと机を見つめている。



「真犯人は···!」



はじめちゃんはそう言うと雷が鳴る中、ゆっくりと歩いて、小野先生の横へといき、答案用紙を差し出した。



「受け取ってください、小野先生」





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