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パーティー



場所は遊戯室へと移動し、あたしたちはそれぞれやりたいことをやっていた。
美雪が南山さんからジュースを受け取ってあたしの方へとやってくる。
男組はビリヤードをして、女組はそれぞれやりたいことをやっていた。



「はい、ゆづちゃん」
『うん、サンキュー』



受け取って飲むとそれはオレンジジュースで。
それを飲むあたしの隣で美雪がそわそわしたように多岐川さんを見ていた。
持っているノートとペンを見て、あたしはふっと笑い、彼女の背中を押してやる。



『行っておいで』



美雪はコクンッと頷いて多岐川さんの元へ向かった。
多岐川さんからサインをもらって嬉しそうにしている美雪を見ながらジュースを飲む。
その時、銭形さんが隣に来た。



「金田一君はどうしたのかな?レイディーを一人っきりにするなんて、マナーの欠片もないやつだ」
『あ、ビリヤードのやり方もわからないし、疲れたからって部屋に戻っちゃったんです』



すると銭形さんはふっと笑って、顔を近づけてきた。



「よかったら、私がコーチして差し上げましょうか?」
『結構です』



ニコリと笑ってさらりと流すと、あたしは場所を移動した。

ビリヤードのやり方ぐらい知ってるから全然いいんだけど。

美雪の背中を押してそこから離れながら近くの椅子へと座った。



「ゆづちゃん、ビリヤードやったことあるの?」
『ん?まあね』



男組が終わったのを見て、次は女組でやろうってことになり、マリアさん抜きの女子組でやることになった。
お母さんの会社のパーティーや、お父さんの賞を獲った時のパーティーでよくやっていたのでやり方はわかる。



「わたし、やり方わかんないんだけど」



やり方わからないのにやろうとしてたのね、美雪ちゃん。


上目遣いにあたしを見上げる美雪に思わず苦笑した。



『じゃあ、あたしが教えてあげる』



当麻さんが終わり、あたしの番も終わったので、美雪の後ろに回ってやり方を教えてあげる。



『低い姿勢からボールをよく見て、そして球に向けてキューを打ってごらん』
「こう?」
『もうちょっと身を乗り出す』



後ろから覆いかぶさるように美雪の手や位置を正してあげる。



「ゆづちゃん、近くない···?」
『は?女同士なんだから何を恥ずかしがってんのお前は』
「なっ!?べ、別に恥ずかしがってなんか···!」
『はいはい。顔赤くしちゃって可愛いんだから』



顔が赤い美雪にニヤリと不敵に笑ってから身を離して彼女の横に立つ。



『ほら、そこで打ってごらん』



あたしの言葉に合わせて美雪が打つと、ガコンッと一つの球が落ちた。



『ほらな?できたろ?』
「すごーい、ゆづちゃん!」



それから時間も時間なのでお開きとなりそれぞれの部屋へと戻る。



「今日はこれで終わりなの?推理ゲームはいつ始まるのよ」
「ごゆっくりとおやすみください!」



苛立たしげな多岐川さんの言葉にそう返す南山さん。
おっさんと手を振って別れると、あたしは美雪を振り返った。



『じゃあね』
「うん···」



不安そうな美雪に手を振って部屋へと入った。


ま、なんかあったら部屋に来るだろ。





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