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永久会員権



夜になり、ベッドに美雪と空を寝かせて、それを甲田さんに診て貰っている間、あたしとはじめちゃんは室内を歩き回っていた。



「なんであの時、ジェイソンは吊り橋を爆破してしまったんだ···」
「それは、我々をここに閉じ込めるためでしょう」
『いや···けどジェイソンはこの辺りに土地勘はないはずでしょ?それなのに、どうしてあの吊り橋が外に出られる唯一のルートだって知ってたんです?』



あたしがそう言うと美雪と空のタオルを取り換えていた甲田さんは立ち上がった。



「確かに···そう言われれば···」
「食料に全然手がつけられていなかったことだって奇妙だし。もし···犯人がこのツアーの中にいるとしたら······」



あたしもはじめちゃんと同じようなことを考えたんだけど。
動機がないだろうから、その考えを消したんだよなあ。



『でもそれって動機がなくない?』
「そうなんだよ···」



あたしとはじめちゃんがそう言っていると甲田さんが「動機ならあるかもしれませんよ」と言った。
思わずはじめちゃんと顔を見合わせて甲田さんを見る。



「このツアーに参加した皆さんの本当の目的はね······このリゾート施設の永久会員権なんですよ」



永久会員権!?
聞いてないよあたし。
そんなの初めて知った···。



「参加者の中から抽選で1名にその会員権が与えられるわけです」
「そうだったんですか···。柚葉、知らなかったのか?」
『うん』



不思議そうにしていたあたしにはじめちゃんが問いかけてきたのであたしは素直に頷いた。
お父さん、何も言わなかったし。

あれ、けど···お父さんこのツアーのことなんか言ってたよね。
あたし行きたくなさすぎて適当に流してたから覚えてないんだけど···。
なんだっけ?


あたしは内心で考えながら首裏に手を当てて首を傾げた。



『でもどうしてそれが動機に?』
「プレミアムがつけば恐らく1億ほどには···」
「『1億!?』」



あたしとはじめちゃんは顔を見合わせた。


マジでか。
1億はすごいな。
となると橘川が自分の名前でいけって言ったのは···。



「橘川が自分の名前で参加してくれって言ったのはそういうことだったのか」
『ちゃっかりしてるわねぇ、あいつ···』
「人数が少なくなればなるほど、その抽選の確率は高くなるわけです。まぁ、実際···香山さんが死んで喜んでいる人もいるはずですよ」



なるほど···。


甲田さんの言葉にあたしとはじめちゃんは視線を合わせた。





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