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 聖夜の宴

珍しく雪が積もるしだれ桜。そして暖まる室内では奴良組恒例といってもいい(毎晩開催される)宴が開かれていた。


三代目総大将となったリクオとその隣には許嫁の私が上座へと座り、奴良組の妖怪たちは酒を酌み交わし、料理をつまみ、自慢話をし合い、わいわい!と盛り上がっている。



『クリスマス……ねえ』
「?どうかしたか?」



ボソリッと呟いた言葉に、リクオが首をかしげたが、なんでもないと首を横に振る。



「姫様!見てください!」



ジャーン!と氷麗が差し出したのは、サンタの帽子をかぶる私とリクオに似た人形がホールケーキの上にのっていた。恐らく砂糖菓子で作られたものだろうが、とてもよく作られていて、おお!と目を輝かせてそれを見つめる。



『すごいね、これ。もしかして手作り?』
「はい!みんなで作ったんです!」



みんな…と言う言葉に周囲を見れば、納豆小僧や3の口などの小妖怪たちに毛倡伎などの家の家事などをよくしてくれている妖怪たちがそわそわとこちらを見ていた。


なるほど、みんなで頑張って作ってくれたってわけね。


私はそのケーキを受け取って、隣でお酒を呑むリクオにも見せた。



『見て、リクオ。これ私たちだって』
「へえ……よくできてるじゃねえか」
『すごいよねー!めちゃくちゃ似てる。食べるのがもったいないぐらいにね』
「ああ」



私とリクオでそう言って微笑めば氷麗や他の妖怪たちはやったー!と両手を上げて喜んだ。その様子にふふっと笑いながら再度ケーキを見る。


いやけど本当に良く似てて食べるのが勿体ない。妖怪姿の私とリクオが並ぶケーキ。


そして真ん中にチョコペンで書かれた「Merry Christmas」の文字。よく英語書けたな…なんてツッコミは置いといて。


私はケーキを置いて立ち上がると、みんながこちらを注目した。隣のリクオもニヤリと笑みを浮かべながらこちらを見上げる。


私はみんなの視線を一心に受けて、リクオに注いでもらったお酒を掲げて広間に響き渡るほどの声をあげた。



『Merry Christmas!!』
「「「メリークリスマス!!!」」」



ヒューッ!!と下手くそな口笛や、拍手が本家の隅から隅へと広がった。



聖夜の宴

朝まで騒いで
全員が広間で寝てしまったあと
みんなのために用意したプレゼントを
こっそりと置いたのは秘密




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