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捩眼山の頂点に立つ



『もう。リクオあのバカ、どこまで行ったのよ···』



先程階段を下りている途中で出会ったカナに氷麗を預けてきたはいいものの。先に牛鬼の元へと向かったリクオを追いかけてきたのだが、なんせ私は牛鬼の屋敷へ行ったことがないために道に迷った←


だって牛鬼の屋敷なんて来たことないし。こんな遠いところまで行く気にもなれないし。



『あ〜あ、せっかくの旅行が台無しだよねぇ···』



そうつぶやいた私は階段に腰掛けた。リクオに急いで追いつくために駆け足で階段を上っていたのだが少々疲れてきた。決して体力がないわけではない。この階段が長いのだ。


別に「早く来い」なんて言われてないし、いいかな。



『あ〜疲れた』



ぐっと手足を伸ばした私は牛鬼の事を考えた。


最近の牛鬼の行動は目につくものが多かった。やたら旧鼠の件の事を聞いてきたり、夜のリクオはどんな奴だとか聞いてきたり。


旧鼠の件···。


それを考えた私の体がブルリッと震えた。


旧鼠を倒して本家に帰ると、本家の妖怪達にこっぴどく怒られた。正直言って怖かった。だって妖怪だよ?リクオや首無みたいに顔がイケメンばかりじゃないんだよ?←


そんなのに詰め寄られてみてよ。怖いわ。あれは恐怖ものだよ。一種のホラー映画だよ←


首無に呼ばれて広間に行けばそこには幹部の妖怪達の姿と上座に険しい顔で座っているおじいちゃんとリクオ。何が始まるのかと思いながら席に着くと始まった会議の内容は「私のこれからをどうするか」という話だった。


一瞬、『は?』と口に出して皆に睨みつけられたのは記憶に新しい。


やれ、「なんで一人で出かけたのか」やら「何故頬を殴られた」やら「陰陽師を庇うとは」やら「一人で出かけるの禁止!」やら「門限決めるか」「おお、それいいな!」やら。後半は少し議題から離れているが←


しかし、だ。笑いごとではない。本気と書いてマジと呼ぶくらいヤバかった。危うく私の自由がなくなるところだった。


上座に座っていたリクオとおじいちゃんが「ねえ、じいちゃん。本気で神夜の門限を決めようか」「おお、それはいいな。何時がよい?」と言い出したのだ。マジであれは危なかった。だが、そこは私だ。一生懸命な謝罪と土下座で何とか許してもらった。


その変わり「夜の一人での散歩は禁止」と「遅くに帰らないこと」と「無茶をしないこと」と約束させられた。朝帰りもダメと言われたが、朝帰りなんかするか。とツッコミたかったのは内緒だ。


『過保護···』ボソッとつぶやいてみればその場にいた皆に「姫様が自由過ぎるんです」と怒鳴られたし!


過保護にも程があるよね。あの総会にも似たような会議からはリクオが私の隣を陣取るようになったし氷麗は私から離れないしで困ったものだ。


っと話しがずれた気がする。どこまでいったっけ···あぁ、そうそう牛鬼だ。


何かと最近、他の妖怪達と話し込んではいるなと思っていたが、まさかこんなことをするとは。おじいちゃんが何か気をつけろと言っていたのは牛鬼の事だったのだろうか。


というか、



『鳥居たち、大丈夫かな···』



いくらセキュリティがあるからってそんなもの妖怪に効くわけがない。ちょっと考えればわかることだろうに、あのワカメ頭。


ゆらたちに何かあったらあいつボコるからな。



『とりあえず、牛鬼の屋敷へ。いざ!!』



勢いをつけて立ち上がったはいいが。



『牛鬼の屋敷どこ···』



ボソッと呟いた私の傍を冷たい風が通り抜けた。


しょーがないか。ここは······。



『勘で行くに限る!!』



よしッ!と意気込んで私は階段を駆け上がった。



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