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簡単に私の手当てをした後リクオは牛鬼の元へと向かって行った。



"あんまり無茶すんなよ"



その言葉と共に額に送られた唇の感触を思い出して一人赤面する私は今、氷麗を横抱きに抱えて捩眼山の階段を下りていた。


カツカツと私の膝上のブーツの音が夜の階段に響く。すると下の方からカナが上がってくるのが見えた。多分、探しに来たんだろうな。


直感的にそう感じた私はこちらを見て立ち止まったままのカナに近寄って氷麗を渡した。



「え?は!?」



戸惑いながらも氷麗を受け取ったカナは少し頬を赤らめながら私を見上げた。



「あ、あの···」



そんな彼女に微笑みかけるとボンッと真っ赤になる顔。それを見てゆるりと口許を持ち上げると階段を登り始める。



「え、ちょ!」



慌てたようなカナの声に私は階段を登るのを止めて振り返りざまにニヤリと不敵な笑みを浮かべた。



『行くとこがあるの。カナ、その娘を···たのむわね』



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