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朝のHRが終わり、ちょっと眠気覚ましにリクオとカナと廊下を散歩していると隣の教室から清継くんの大きい声が聞こえてきて私たちは顔を見合わせて教室を覗いた。



「またやってる清継くん」
「あ···」

(懲りないわね···)



思わず心の中で静かに突っ込んだ。


彼はバンッと自分の机に手をつけて大きな声でしゃべり出した。



「町内の怪奇蒐集マニアの友人から買いつけた「呪いの人形と日記」がある!!あれを使って!!必ずや自論を証明してみせる!!」



そんな清継くんにクラスのみんなは不満そうな声を上げた。


てか「呪いの人形と日記」ってなにそれ。妖怪?


顎に手を当てて考え込んでいると急に清継くんの大きな声が聞こえた。



「おや···家長さんと月影さんと奴良くん!!ちょうどいいところに!!」
「ゲッ」
「しまった!!」
『最悪···』



嫌そうに顔をしかめる私達など気にもせず清継君は張り切ったように声を上げた。



「清十字怪奇探偵団!!今日はボクの家に集合だからなー!!」

((な、なんか勝手に団体化しちゃってるーー!!))



放課後。学校の帰りに連れてこられたのはバカでかい家。そしてある建物へと連れてかれ清継くんはそのドアを思いっきり開けた。


な、なんか品物の良い調度品ばっかだな。


私達が呆然と周りの物を見ていると島くんが「すげぇ···ここ、清継くんち?」と問うた。



「ふふふ···ボクのプライベート資料室さ···」



のわりには妖怪に関するものがあんまりないわね。



「超成金じゃないすか···」
「口をつつしみたまえ!!」



大学教授であるボクの祖父が···と続ける清継くんの話を聞かずに私とリクオは最後尾を歩きながら周りを見渡す。



「うわ〜なんか凄そうなのがたくさんあるなぁ···」

(なんでこうなっちゃったんだろう···)



溜息をついた私は一つ気にかかることがあったため隣のリクオの腕を引っ張って氷麗の傍に行く。「さあ、こっちだよ」と先導する清継くんに気づかれないように耳打ちをした。



『雪女···もといつらら。本家に物に取り憑いたりする妖怪とかいた?』



本家の妖怪って何がいたか全然覚えてないよ。



「さぁ···人形にとりついたりする者はいなかったと思いますけど。付喪神かもしれませんよ···いわゆる現代的な」
『またそっち···』
「こまるなぁこんなご近所で」



溜息をついている私とリクオを花開院さんが振り返って不思議そうに見る。



「そのときはバーッて、また倒しちゃえばいいじゃないですか」
『そうはいかないでしょ!!』



焦ってそう言い返す私とオホホホと笑う氷麗をカナはまた···と怪訝そうな目で見ていた。



「この、日本人形なんだけどね」



なんか随分古ぼけた感じで雰囲気が怖いわね。

清継くんは気味悪そうに人形を見る私達を見て日記を取り出すと読み始めた。



「2月22日···引っ越しまであと7日。昨日、これを機に祖母からもらった日本人形をすてることにした。といっても機会をうかがってはいたが本当に怖くてなかなか捨てられなかっただけで、雨がふっていたが思い切って捨てた···」



チラッと隣にいたリクオが人形を見るとそれは手を前に伸ばして涙を流していた。思わず私とリクオはぎょっと目を見開いた。



「すると今日なぜか捨てたはずの人形が玄関に置いてあり目から血のような黒っぽい···」



日記を読み続ける清継くんの言葉を遮るようにリクオは人形にタックルをかました。



「どおしたー!!リクオー!!」



「貴重な資料にタックルかますなー!!」注意する清継くんに軽く謝りながらリクオは制服の袖でさりげなく人形の涙を拭う。そんなリクオに私と氷麗は後ろからそっと近づいた。



「わ、若···?」
「うう···もしかしたらこれやっぱ本物なのか···?」
『嘘でしょ···?』



私達三人で話していると人形に覆いかぶさっていたリクオを清継くんが退かした。恐らく人形に傷がついていない確かめたのだろう。彼は「なんともなってないか···」とつぶやくと顎を返した。



「まったく貴重な資料を···。名誉会員から外してしまうよ」



元の位置に戻って島くんから日記を受け取った清継くんは続きを読み始める。



「2月24日。彼氏に言って遠くの山に捨ててきてもらった。その日の夜···彼氏から電話「助けてくれ···気づいたらうしろの座席にこいつがのってた···」」



嫌な予感。



「考えてみれば昔から変だった、この人形···。気づけば髪がのびているようにも見えた···」



だんだんと髪の毛が伸びている人形を見て私達はぎょっとした。思わず横にいたリクオの腕にしがみつく。



『り···リクオ···これ···』
「あぁ···まずいぞ···」



怖い、怖いよ。



「凍らしてしまいます!!」
「だ、だめだよ。みんなの前で······」
『そうよ、無理だわ』



小声で話していると清継くんが「2月28日引っ越し前日」と日記を読み続けた。



「おかしい···しまっておいた箱が開いている···」



そう言葉をつづけると人形の形相が変わり刀を持って振り上げた。



「日記を···読むのをやめてぇぇー!!」



リクオが制止の声を上げると幾つもの紙が飛んできて人形の顔面に当たった。「「『!?』」」と驚いて振り返った私達三人の視線の先には札を構えている花開院さんの姿。



「浮世絵町···やはりおった。陰陽師花開院家の名において、妖怪もののけよ。あなたをこの世から···滅死ます!!」



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