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部屋でゆっくりと着替えているとリクオが何故か焦ったように玄関から私を呼ぶので急いで玄関へと向かい学校に走った。そのとき、リクオはふらつていてその原因は多分昨日の鴆の時の影響だろうなぁと心の中で考えていた。


学校へついて、下駄箱に向かうと見慣れた後ろ姿が見えて私とリクオは駆け寄った。



「カナちゃん!」
『おはよう、カナ』
「おはよう···お互い今日は早いわね!」



挨拶するとすぐに私の腕に抱き着いてくるカナ。隣ではリクオがほぅ···と息をついていた。多分、カナに会うと人間的生活って感じとでも思ってるんだろうな←


すると後ろから嫌なオーラを感じて体を固まらせているとズズーンと肩が重くなった。



「やぁ、君たち···ごぶさたぁあーー···。あのとき以来だねぇ···」



振り返ってみると落ち込んだような清継くんとその後ろで苦笑いをしている島くんがいた。あの時とは旧校舎の時のことで、私とリクオは思わず顔を引き攣らせた。



「き、清継くん···?」
「君たち···見たよねぇ!見たよねぇ!」
『な、何が···?』
「だから!あのときだよ!」



冷や汗を流しながら頭を抱える清継くんを見て私はカナを抱き寄せながら一歩後ろに下がる。そんな私をカナは不思議そうに見るが曖昧な笑顔を浮かべといた。リクオは全然気づいていない。


なんか、今の清継くんは嫌な予感がする。



「たしかに居たはずなんだ···旧校舎には···。ぼくが求めていた“妖怪彼ら”が!!」



清継くんは近くにいたリクオの胸蔵をつかんでグラグラと揺さぶる。



「なのに気が付いたら公園のベンチで寝てたんだ!!奴良くん!!な、見たよねー!!妖怪ー!?」
「えぐうぐはあ···し、知らないよぉ〜〜」
『清継くん、リクオが苦しそう』



嫌な予感当たった。


カナと島くんが清継くんとリクオを見て引いているのを横目に清継くんにそう言うとあっさりとリクオを放してくれたので、ゲホゲホ···とむせているリクオの背中を擦る。



「おかしいなぁ。たしかに妖怪だと思ったのに···」
「フフフ、不良と見まちがえたんじゃないかしら?たむろしてた不良がおどかしてきたじゃない!?」



少し高い女の子の声。


私とリクオが振り返ると、そこには制服姿の氷麗と青田坊の姿。



「おお、君は確か。そ、そうだったかなぁ···」
「そーよ」



ニコニコと可愛らしく笑う氷麗を見て私とリクオは目を見開いた。



((ゆ、雪女ぁ!?))



盛大に顔を引き攣らせた私とリクオは顔を見合わせた。



「アレ?もしかして気絶でもしちゃってたの?情けないわぁあー」
「そ、そんな···してないさ!!気絶なんて!!あーおぼえてるおぼえてる!!不良ね、不良」
「そーよ!そんな簡単に学校に妖怪なんて出ないわよ!」
「『·········』」



私達の目の前にいるけど。


思わずリクオと一緒に顔をしかめて目を細めながら清継くんを誤魔化している氷麗を見てしまった。


あ、私も一応妖怪だった。半妖だけど。


清継くんは一人で納得しながら歩き出し、その後を島くんが急いで追いかける。それを見届けて私とリクオは顔を見合わせるとリクオが一歩踏み出して氷麗に話しかけた。



「ちょ···ちょっと、あの」



すると勢いよく氷麗が振り返って私達を見る。そりゃもう、ばっ!と音が付いてきそうなくらい。



「あ、若!!姫!!二人で勝手に登校しちゃこまります!はい、母様のお手製弁当!!」



つめたっ!!


ドカっと手の上に乗せられたのはひんやりと冷たいお弁当。若菜さんが作ったはずなのに何でこんな冷たいのと一瞬考えたが氷麗が持ってきたのなら冷たくもなるよね。雪女だし···。


私は腕に抱き着いているカナを優しくほどくと氷麗の腕を掴んでリクオと一緒に階段の陰まで全力疾走した。



「何するんですか···?」
『何で学校来てんの?』
「だってほら姫達になにかあったら···」
「ボクは学校で平和にくらしたいんだ!」



ゴゴゴゴと背後にオーラを纏いながら私とリクオが詰め寄るが氷麗は平然と返して来る。



『バレたら大変なのよ!?』
「でも命令ですから···」
「せめて「若」と「姫」はやめてくれ〜」
「じゃあ私のことも「及川さん」か「つららちゃん」で」
『「え」』



いつも氷麗って呼んでるのに、何故か驚いてしまった。固まったリクオの前から体を乗り出して期待を込めた眼差しで私を見る氷麗から思わず顔を逸らした。


そういえば私、心の中では氷麗って呼んでるけど口に出しては言ったことなかったような気がする。


階段の陰で親密そうに話している私達をカナがじ〜っとみていることに気づかなかった。


今だに期待を込めた眼差しで私を見る氷麗とそんな氷麗から顔を逸らしている私をカナは怪しむような目つきで見つめていた。



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